10月7日、2回目のワクチン接種をした。
周りから副反応がエゲツないと言われビビりながらも軽い発熱だけで済んだ1回目。
もしかしたら自分は副反応と無縁なのかと思って受けた2回目。
副反応についてTwitterで症状を調べても人それぞれだ。1回目から苦しんだ人もいれば2回目もノーダメージで済んだ人もいる。
まるでギャンブル。ただ2回目の方が1回目より重い反応が出ることは確かなようである。
そして受けた2回目。念の為、食料と飲み物を確保して夕方には帰宅。
翌日は休みにして副反応に備えた。
そして、地震がきた。
覚えているだろうか。10月7日22時41分に千葉県北西部を震源とした大地震があったことを。マグニチュード5.9、震度5強である。
東京23区では3.11以来の大地震。1度目の揺れで「いつものとは違う」とすぐ分かる破壊力。鳴り響く緊急アラーム。
ぼくの部屋は本棚から無数の本が落下し、その上に置いてあったヘルメットが真っ先にぼくに襲い掛かってきた。ヒーローの変身のようにそのまますっぽり被れればよかったのだが、咄嗟にかわした。安全具に襲われるとは皮肉なものである。
映画を観ていたぼくはすぐに再生を中止し、チャンネルをNHKへ、靴下を履いて短期間でもスマホを充電し始めた。
幸いそれ以降は大きな揺れはなく事なきを得たが、乗り物酔いが酷いぼくは最初の揺れでだいぶ酔ってしまった。余震の恐怖と戦いながら恐る恐る寝る。しかし次に待っていたのは地震ではなく副反応だった。
夜中に目が覚める。すぐにわかる。
高熱だ。ウワサの副反応に違いない。
買っておいたパンを少しだけ食べて解熱剤を飲む。そしてまた気絶する。
目覚める。今度は朝だ。頭痛が激しい。
熱を測る。38度5分。思ったより低い。
38度5分ってこんなにつらかったか?コロナが流行ってから徹底的に手洗い&うがいをしていたので一度も熱を出していない。久々の発熱なので身体が覚えてる38度5分とは違う気がする。もしくは副反応による発熱は従来の風邪による発熱と毛色が違うものなのか。
テレビを付ける。地震のニュースばかり。
「これから一週間は同程度の余震が起きる可能性があります」
勘弁してくれ。今地震がきたらゲームオーバーだ。
喉が渇く。とにかく喉が渇いて冷蔵庫にある飲み物を片っ端から飲む。
いくら高熱でも何度も寝てるとさすがに寝れなくなる。
なんとなく映画を見てみる。
集中するのがしんどい。物語を追うと頭痛が激しくなるのですぐにやめる。
熱を測る。38度8分。上がってる。
頭が痛い。
気絶したり起きたりの繰り返し。
冷凍食品を食べて薬を飲む。
夜、飲み物が尽きそうになる。
あんなにあったのに。
最寄りのコンビニまで歩いて7分は掛かる。この状態で行くのは厳しい。
だが、飲み物が尽きたら試合終了だ。
いや、待てよ。
そもそもこの症状は明日も続くのか。
明日の朝までに治るなら行かなくてもギリギリセーフな量の飲み物は残ってる。
どうする?
もし明日の朝、今より更に熱が上がっていて飲み物がなければ即死だ。
コンビニまで死の散歩を選択する。
フラフラな足どりで一歩一歩進む。
コンビニ到着。水やらスポーツドリンクやら食料やらを大量に買う。
頭が回らず帰り道を考えてなかった。
荷物が重過ぎる。
行きよりも更に遅い足取りで帰宅する。
これでアイテムは揃った。あとは回復を待つだけ。
買ってきた小さいカレーをゆっくり食べる。食欲がないので食べるのもひと苦労。
薬を飲んで寝る。枕元にはスポドリ。
翌日、目覚める。熱が下がってるのが感覚でわかる。
頭痛は治ってない。
その日も一日家で過ごす。
その翌日、平熱に戻るもまだ頭痛がする。食欲もない。
こんな風に熱はないがうっすら体調の悪い日が数日続いた。
副反応、ぼくより苦しむ人もいれば無反応の人もいる。
この望まれないギャンブルは一体なんなのか。
そして何より、人間の身体はあんな一瞬の注射でおかしくなってしまうということを身を以て知った出来事だった。
見方によっては暴力よりも医学が怖い。