こんにちは、小野哲平です。
皆さんはインターネットカフェを利用しますか?
だいぶ社会に根付いてきて店舗も増えてきたのでその言葉に馴染みのない方は少ないと思いますが、ピンと来ない方は漫画喫茶と思っていただければ分かると思います。
小さい個室にパソコンと明かりがあって、店内には雑誌やコミックが大量に用意されています。飲み物もカップの自動販売機が設置されており、利用者はそれを何杯でも無料で飲むことができます。
利用時間によって○○時間パックという形で料金区分が分かれていて、長い方は1日10時間以上いることもありますし、短い方は10分くらいで退出することもあります。
時間があるときにジュースを飲みながら気になるコミックをまとめて読めるなど、そのサービスはとても魅力的です。
ぼくが勤務を始めた頃はまだ世間的にそれほど知られてなかったネットカフェですが、今ではネットカフェ難民という言葉が登場するなどしてちょっとした問題になっています。
そこで今日はぼくが以前アルバイトをしていたインターネットカフェで実際に起きた事件を大きいものから小さいものまで紹介しようと思います。
参考までのぼくの勤務詳細はこちら。
- 約6年間勤務(2006年~2007年,2010年~2015年)
- 勤務地は神奈川県の繁華街
- お店は24時間営業(年中無休)
- 身分証がなくても入店可
- 週6~7日で勤務
強制残業も多かったよ!
関連記事元バイトスタッフが明かす24時間営業店の強制残業問題。
本記事ではネットカフェ難民とは何ぞやという部分からぼくが経験した事件を紹介していきます。
ネットカフェ難民とは
まず最初にネットカフェ難民という言葉について説明します。
ネットカフェ難民とは住居を失ってネットカフェで生活する人たちのことです。
つまりずっとネットカフェにいる人。
ぼくが働いていたネットカフェは退店時に会計で、自身が選んだパック料金以上のお金をカウンターに預けてくれれば利用途中に何度でも外出が可能です。外出中もそのお客さんが使用しているブースはそのままお客さんが確保している状態になるので誰も入りません。
なので食事を外で済ませてそのままネカフェに戻ればホテルのように利用することができます。
ホテルに泊まるとなると激安でも一泊3000円以上はしますがネットカフェなら夜間パック9時間で1500円(当時)くらいです。
半額!!
狭いとはいえブース内で横になることもできるので、ネットカフェ難民でなくともちょっとした宿泊施設として利用する方は年々増えています。
一般的には
- 終電を逃した
- 次の日の朝、近くで用事がある
という突発的な理由でネカフェで泊まるという方が多いです。
始発までいたい、というお客さんが多かったですね
シャワー室も完備、ネットカフェは住める場所
そんなに何日も泊まれるものなの?
という疑問が出てくると思いますが、ネットカフェにはシャワー室も完備されていて、希望者は順番に利用することができます。
カップラーメンやお菓子などの食料は販売してますし、飲み物は無料で飲み放題。
各ブースにパソコンがあって、それぞれ映画やらアニメが何百タイトルも入っています。
そして毎日最新の雑誌やコミックが入荷されるので、鑑賞系の娯楽は揃っています。
外出時にコインランドリーで洗濯をして、食事も外で済ませれば十分にネットカフェで暮らしていけます。
ネットカフェ難民って実際にいるの?
じゃあ、そんなネットカフェ難民はどれだけいるのか?
正直にお答えすると…
めっちゃいます。
ぼくはネットカフェ難民という言葉が世の中に登場する前から彼らを見ています。
皆さんのイメージだとネットカフェ難民って「生活に困窮して他に行く場所がなくなった方」というちょっと小汚いイメージがあるかと思います。
確かにそれはそうです。表現としては良くないですがそういう方が多いのは事実です。
ですが、それとは別に見た目が全然普通の人でネットカフェに寝泊まりしてる人もめちゃくちゃ多いです。
寝泊まりする人は二種類
ぼくの経験則だと、ネットカフェに寝泊まりする人は2種類います。
割合は男性の方が多いですが女性も決して少なくはありません。
朝も昼もずっといる人
ひとつは皆が想像しているネットカフェ難民。朝から夜までずっといる人です。
退出時間になるとパックを切り替えてまた長時間パックで入店します。
一日中ブースを利用していることになるので料金は高めです。
どこから、どうやってお金を捻出しているのかは分かりませんが、お金を払ってくれる限りはお客さんなので、ぼくらスタッフも普通に接客します。
半月くらい住んでる人は1店舗に常に4~5人いて、半年になると2~3人。
一番長い人で二年くらい住んでる人がいました。
怖いよね
夜だけ来る人
もうひとつは日中は仕事をして夜だけ寝泊まりする人。
ネットカフェを寝床にしている人です。こちらの方が圧倒的に多いです。
深夜帯はほぼ常連だらけです。
彼らは朝、店を退出したら夜まで戻ってきません。そして夜にまた店に戻ってきます。
一日中いる人との違いは
- 夜だけ利用してるので日中の利用料金は発生しない点
- ブースを予約しているわけではないので満席だったら入店できない点
土日は店に来ない人もいたので、平日はネットカフェに寝泊まりして仕事を頑張って週末に自分の家に帰る生活だったのかなと思います。
この夜だけ来る人もネットカフェで生活している人(ネットカフェ難民)とするならば、ぼくが働いていた店舗だけで50人以上はいました。急に来なくなる人もいれば何ヶ月かしてまた現れる人、そのスタイルは様々です。
ぼくが実際に遭遇した事件
ネットカフェに関する説明が済んだところでぼくが実際に勤務中に遭遇した事件について書いていきます。
退店時会計がすべての問題の始まり
店内で起きる事件はお金がらみが多いんですけど、これってそもそもぼくが働いていた店が完全後払いシステムだから問題が発生するんですよね。
今はどうなのか知りませんが入店時には一切お金払わないんです。
だから明らかにお金持ってなさそうな人も入店させなきゃいけないし、入店してからお金がないことに気付いた!っていう人の嘘くさい言い訳も聞かなきゃいけません。
これがもうただただストレスでした。
無銭飲食・窃盗は当たり前
先ほどお金がらみの事件が多いと書きましたが、ぼくが働いていた場所では無銭飲食や窃盗は珍しくありません。街柄も当然関係してきますが、ぶっちゃけよくある風景でした。
ぼくが働いていた店は全てのブースが個室だったのですがその全ての扉に鍵はついていません。
つまりここは宿泊施設じゃないよ!という主張ができるように鍵を付けれなかったような…(曖昧)
なので夜間、他の客が寝静まったあとにこっそりブースの扉を開けて他人の財布を盗むことが簡単にできたのです。何度か監視カメラに映ってました。
それによって朝方、退店時に「お金が無くなった!!」と騒ぐ客も少なくありません。
ですが、それと同時に元々お金を持っていないのに(わざと)入店するという客も多かったので、働いてる立場としては何が真実なのか全然分からないので、淡々と対応していました。
「金を盗まれた!!」と焦る人もいれば、少しも悪びれずに「金ないっす」と言う人もいました。
ポイントとしては、
精算時に「お金が無くなった!!」と騒ぐのに「警察呼んで対応してもらいましょう!!」と言うと「いや、そこまでしなくてもいいよ」という人はほぼクロ(最初から持ってない)です。
無銭飲食も窃盗も本当かどうか分からないので、その全てに対して同じ対応をしていました。
というか人手不足なのでそれに時間を取られると他の業務が詰むという悪循環。
警察は週一で呼ぶ
ぼくが勤務してる時期、多いときは週一で警察を呼んでました。
問題のある客やお金の無い人の対応で来てもらっていたのですが、結局来てもらっても店にお金が入るわけでもないし、その客が反省するわけでもないので、いつからか呼ぶのをやめてしまったんですよね、店舗として。
さすがに犯行が監視カメラに映ってる場合は呼びましたが、そうでないときはもうバイト連中だけで物事を解決していました。
よく考えるととんでもない店だったなぁ
お待たせしました、それでは事件を追っていきましょう。
変わっていく少女
ある日の夕方、可愛らしい女の子が来店しました。
14時間パックでフラットシート。
家出かなぁ…とぼくは思っていました。親と喧嘩して1日帰る場所がない的な。
カウンターでスタッフとやり取りするときも明るく笑顔で感じの良い子でした。
かわいい子でしたよ!
すると翌日もそのままパックを切り替えて引き続き利用。
彼女はそのまま三ヶ月以上ネットカフェに住み続けました。
艶があった髪は次第にボサボサになり、肌も荒れてボロボロ、
目も虚ろで笑うこともなくなり、彼女は別人のようになってしまいました。
夜な夜な外出をしていましたが何をしていたのかは不明です。
当時はまだチャットガールがなかったので、おそらくマッチングアプリ(ハッピーメールやPCMAX)で相手を探していたのだろうと思います。
最終的に彼女は払うお金が無くなり、店から追い出されました。
最後はボケーっとして会話できる状態じゃなかったよ…
彼女に何があったのか…
人間の生気が失われていくのを垣間見た時間でした。
家出少年との死闘
うちのネットカフェは全店後払いシステムです。
お金がなかった場合は後日払うことを約束する誓約書を書かせて帰します。
処分はこれだけです。これを未払い処理と呼びます。
支払いが済むまでは当然出入禁止です。
念の為、顔写真を撮って全スタッフで共有しますが該当する客の人数が多すぎて覚えられません。
カウンターに新人スタッフが立つこともあるので出入禁止の人を知らずに入店させてしまうことも多々あります。
そんな中で何度も変装して来店して、いつも必ず未払い処理になる少年がいました。
お金は一度も払っていません。
最初は17歳で最終的に22歳くらいだったような…。
この少年の凄いところはぼくが働いていた店舗だけでなく、他の店舗にも現れて未払いをするところです。なので会社全体でマークしている少年でした。
複数店舗でお金を払ってないので、発見次第警察を呼ぶ手筈になっていました。
どこでどういう生活をしているのか一切謎で、最初は只の若者だったのに、最終的には髭も髪も伸び放題でとても20代には見えない風貌になっていきました。
一年に二回くらい現れて、退店時にお金がないから未払いになる。
店長に怒鳴られても警察に怒られても無反応。
別に暴れたりもしないし、普通に警察に連れて行かれます。
でも半年くらいするとひょっこり現れて同じ事を繰り返します。
先輩スタッフが優しく「自分でバイトしてお金作ってからおいで」と諭していたのを覚えています。
一度実家の両親が払ってくれてそれから毎回親に請求する形になった記憶が…
彼の人生にはどんな物語があったんだろう。
もしかしたら彼もまた「無敵の人」に近い存在だったのかもしれません。
関連記事川崎登戸殺傷事件「無敵の人」はアンデッド。対策は攻撃ではなく回復を与えよ。
バラバラ殺人事件の犯人が潜伏
母親を殺害し、その遺体を刃物で切断して遺棄した犯人が指名手配になりました。
そのとき犯人は未成年。
警察が手配書を持って店舗に来るのはよくある話だったので、カウンターの従業員ファイルには幾つもの手配書が挟まっています。
ある日、後輩が言いました。
「こいつ、うちの店いますよ」
…マジか
店長がスタッフにキツく命じたことは
「何もするな」
すべてを警察に任せました。
数日後、警察が客を装い、彼が潜伏しているブースの周りに潜んで、彼がブースから出てきたところを取り押さえました。
ブースで死んでた常連
何ヶ月も同じブースに住み着いている常連のことをそのままブース番号で呼ぶことがあります。
例えば404なら「404、もう(パック)切り替えた?」など、スタッフ内で使用する隠語みたいなものです。
ある日の朝、後輩の女の子からLINEが届きました。
「小野さん!508の人、死にました!!」
508の人(番号は適当)は50代くらいの女性の方で、多分一年かそれ以上住んでたと記憶しています。
ずっと住んでる人って逆にあまり店に文句言ったりしないんですよね。
お店と揉めて出て行くことになったら自分が大変なので。
だからその508の人もおとなしい印象でした。
荷物も少なくて、前述のように扉を完全に施錠することはできないので、たまにちょっと開いてたりするんですけど、ブースも綺麗に使っている印象でした(ハッキリ見たわけではないが)
当日勤務してた後輩に話を聞くと、
退出予定時間になってもカウンターにパックの切り替えに来ないので、気になっていたらそのまま延長料金がかさんで声掛け金額になったそうです。
ブースの外から声掛けしても返事がないので、スタッフが「失礼します」と開けたそうです。
するとその女性は寝ていました。
寝過ごして延長料金が発生することはよくあることなので、その場合はスタッフが揺すって起こします(女性は女性スタッフが起こします)。
いくら揺すっても起きないので、スタッフが救急車を呼んだところ、もうその女性は亡くなっていたみたいです。
死因は詳しく聞いてないので分かりません。
ただその女性は長く接客をしていたので今でも顔をはっきり思い出すことができます。
最後の最後をネットカフェで過ごした女性の人生は一体どんなものだったんだろう。
家族や知人、友人。何か頼れるモノはなかったのかな。
それともここで命を落とすことが彼女の本望だったのか…
色々考えさせられました
人生観は嫌でも変わります
と、今回はこれだけの事件を紹介しましたが、ぼくにとってはそのすべてがなかなか考えさせられる案件でした。
ネットカフェで働いて出会ったのは
- 「お金が無い」「お金を盗まれた」と嘘をつく人
- お金を払いたくないから非常出口から逃走する人
- 気に入らないことがあるとスタッフにジュースを掛けてくる人
- ただただ文句を言いたい人
- 店員に凄むことを生き甲斐にしてる人
- 生きてくことを諦めている人など
なかなかハードワークでした。
警察が持ってきた手配書が感じの良い常連さんの写真だったこともあります。
そんな環境に週6日働いてると確実に自分の中で大切なモノが消耗されていって、最終的には「財布を盗まれた!!」と焦る人に何の同情もできなくなりました。どうせ嘘でしょって。
そう思ってしまう自分が少し切ないですね。
もう戻れないくらい消耗しました
もっと知りたいあなたへ!
ネットカフェで起きた事件の話は尽きることがありません!
随時新作を書いていくので合わせてお楽しみください!