コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯3 無人島の三曲

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もし無人島に三曲だけ音楽を持っていくことができたら何を選ぶべきか。

自分で考えた問いに半月以上悩んでいる。

 

前提条件として、バカンスでの無人島ではなく、漂流して生きて帰れるか分からないサバイバルの無人島だ。

このまま誰も助けに来ないかもしれない、勇気を出して船を作り海に飛び出しても荒波で命を失うかもしれない。そんな極限状態での曲である。

 

イヤホンで聴くのかスピーカーで聴くのか、その辺の小さいことはワカチコでとにかく究極の三曲を選ぶのだ。

 

最初に浮かんだのはウルフルズの「ガッツだぜ」。これはもう確定でいいと思う。

 

聴けば聴くほど生きる気力が沸いてきて、ガッツだぜ!と叫んだ後にはパワフル魂も控えている。

パワフル魂なんてもはや何なのか分からないし、そもそもこの曲でしか聴いたことのないキラーフレーズだ。

 

ガッツだぜを聴くことで生への渇望を呼び起こし、火を焚き、魚を焼いて命を永らえよう。

 

となると、二曲目もガッツだぜ的な応援歌がいいのだろうか。

 

応援歌…坂本九の「明日があるさ」。

 

明日があるさ 明日がある
若い僕には 夢がある

 

…弱い。魂を奮い立たせるよりも淡々と頑張ろうぜ的な感じだ。とてもじゃないが魂がパワフルにはならない。寝ながら聴いたら若干エンディングソング感もある。却下。

 

寝ながらでふと思ったが、安眠の為の曲を入れてもいいのでは。元気を出す部分はガッツだぜに一任して、不安で眠れない夜に優しく眠りにつくことができる曲。

 

暗い夜、空には月。

 

月…鬼束ちひろの月光はどうだろうか。

 

Iam God`s Chaid
この腐敗した世界に堕とされた

 

怖すぎる。

ゴッドチャイルドをガッツチャイルドと発音してるのも怖い。石松の子か。却下。

 

優しい曲…ならば徳永英明の壊れかけのRadioはどうか。

 

何も聴こえない

 

怖すぎる。

無人島に何も聴こえないはヤバい。ヤバい通り越してシャバい。却下。

 

やはり原点に戻って応援歌か。ガッツだぜに勝る曲。生きることを決して諦めない、自分自身を信じ抜く曲。

 

信じ抜く…ダメになりそうなとき?

 

大事MANブラザーズバンドだ!

 

負けないこと 投げ出さないこと
逃げ出さないこと 信じ抜くこと
ダメになりそうなとき それがいちばん大事

 

この口うるさい姑のような歌詞こそ、無人島でひとり生き抜く弱い人間を奮い立たせる曲だ。確定。パワフル魂に四つのこと。ことことことこと。

 

あと一曲。やはり同じ系統の曲は選びたくない。

 

いや、冷静になれ。ダメだったときのことを考えてない。どれだけ知恵や力を振り絞ったって、それこそパワフル魂だったとしても、脱出できない場合もあるんじゃないか。

 

基本はウルフルズと大事MANブラザーズバンドで脱出を図るとして、最後の曲はエンディングソングにしよう。

 

全身傷だらけになりながら、獣と戦い、魚を捕まえ、炎を焚いて明日への不安を胸に寝る。

やがて力尽き、己の限界を知り浜辺で死を迎える。

 

せめて最期は優しく、それでいてハッキリとエンディングの意思表示。

 

さよなら、さよなら、さよなら。

 

オフコースのさよならだ。

間違いない。

 

もう、終わりだね

 

そう言って死んでいこう。

決まりだ。

 

ガッツだぜ
それが大事
さよなら

 

この三曲を持ってぼくは無人島に行く。

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