コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯2 ワークショップ

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映画監督のワークショップにちょこちょこ顔を出している。

 

ワークショップというのは「体験型講座」を指す言葉で、役者界隈では「合同稽古」的な意味合い。

ワークショップ主催者や映画監督、演出家自身が役者を集め、テキストなどの課題を与えて他の受講生の前で芝居を披露させ、それに対して監督側が批評する、といった会合である。

 

勿論、お金が掛かる。その値段も監督やワークショップ団体によってまちまちで高いところでは3日間で3万円以上。安くても1日1万円弱が相場。

 

何度も通えば年間で使う額は10万を軽く超え、トータルで100万円以上ワークショップに使ってる俳優も珍しくはない。

 

何故、そこまでして通うのか。

 

無論、それがチャンスだからだ。ワークショップで芝居を評価され、その監督の作品に抜擢されたという話は後を立たない。そしてまた、仕事がない俳優はそういうシンデレラストーリーが大好物である。

 

そういう意味では俳優はワークショップに大金を払うことでチャンスという名の夢を買っているのだ。

 

例外なくぼくもそうである。

事務所に所属してれば仕事が舞い込んでくるなんてイケメン村出身の選ばれた勇者だけの話で、ぼくのようなブサイク村出身のキワモノ俳優はコツコツお金を貯めて、ワークショップに足繁く通うことが夢への一歩なのだ。

 

そのワークショップで時々困ることがある。それが「俳優同士の打ち合わせ」。

 

受講者同士でペアを組まされ、芝居をする前にペア同士でテキストの解釈などを論議するわずかな時間である。

 

わずかな時間だが重要性は高く、芝居前にコミュニケーションを取る意味でもしっかり話し合いができたほうがいい、とぼくは思っている。

 

だがその打ち合わせで不可思議な態度を取る方がいる。

 

何も話さない。こちらが話すのを待っている。

そしてやや不機嫌。

 

時間がないのでぼくが関係性や解釈などの提案をすると、それは気に入らないようで否定する。

でも自分がどうしたいのかは言わない。人の意見は気に入らないが自分の意見はない。

 

まさに野党である。

 

こんな人もいた。

あるオーディションで、集まった数人で即興劇をやらさせた。場所や登場人物の設定など、おおまかなヒントは与えられて、キャラクターの関係性などは組ごとに打ち合わせ。その間5分。

 

同じ組になった一人の俳優が全然話し合いに参加しない。

 

「〇〇で〇〇、こういう関係性でどうですか?」

「…はぁ、それでいいっすよ」

 

「何かこういうのがいいとかあります?」

「…いや、別にないっす」

 

YOUは何しにここへ?

 

その人はぼくより年下だが、ぼくより遥かに仕事をしてるので指図されたくないプライドがあったのだろう。申し訳ないが日本が銃社会だったら間違いなく撃っていた。

 

そういう俳優に限ってオーディションが終わったら真っ先に監督の元へ行き、少しでも会話をしようとする。まこと醜い行動だが、結果として彼はぼくより仕事をしてるので、それも正しいのかもしれない。まこと醜いが。

 

ワークショップは夢へのチケットに違いないが、そのハードルは限りなく高い。だが宝クジと違うのは自分で当たる確率を上げれることだ。

 

こうしてぼくは今日もワークショップへ通う。

 

追伸。
そのオーディション、落ちました。
彼も落ちてました。ざまあみろ。

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