コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯67 部室

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ぼくが芝居を始めたのは芝浦工業大学の演劇サークルである。

 

ぼくの代が入学する8年ほど前に「演劇やりたい!」と思った先輩が仲間と作った(らしい)このサークル。理系大学の演劇サークルなんて誰が興味あんねん、と指摘が入りそうだが意外にも当時はメンバーが多かった。今は知らない。

 

結成当初は部室などなく細々と活動していたようだが、ぼくが入部する頃には他の部活よりも広い部室をあてがわれていた。

 

今日はそんな部室の話だ。

 

過去に在席した先輩方が他サークルとの学内交渉で勝ち取った素敵な部室。そこには沢山の思い出がある。

 

まず、ちょっと広い。

独身男性が住むワンルーム(8畳〜)くらいある。記憶はややおぼろげだが。

 

テーブルとロッカーとテレビ、冷蔵庫も設置されていた。

更にロフト。誰が持ち込んだのか布団が用意されていて、横になることができる。しかしロフト付近には窓がないので、布団はいつもホコリっぽかった。だいたいダメな先輩がいつも寝ていた。

 

部室では定期的にサークルの飲み会があったり、過去の舞台作品をVHS(懐かしい!)で観たり、何の用事も無くてもただ立ち寄ったりと、ぼくの学生生活の基盤になっていた。

 

前述の通りサークルにはメンバーが多かったので、だいたいいつ行っても部室には誰かしらいた。

授業サボって寝てる人もいれば、意味もなく立ち寄って何度も読んだマンガを読んだりしてダラダラ過ごしていた。ぼくもそうであるように他のメンバーもそうであったことであろう。

 

大学を卒業して15年くらいの月日が流れた。

学生だった時間が特別に輝いていたとは露にも思わないが、単純に「部室に抱いていたあの感情」は尊いものだったと今になって思う。

 

ホームというか、郷里感というか。

単純に「部室に行けば誰かしらいる」というのがとても良かった。

 

例えば、ちょっとした時間ができて誰かと話したいとき。今ならその誰かを自分で決めて自分から連絡しなければいけない。相手の都合も考慮しなければいけないと思うと色々と面倒だなと思うことも多い。

 

これらが全て「部室に行く」だけで解決してたのだ当時は。

 

話し相手も娯楽もそこにあった。

恵まれていた、と思う。

 

別に大人になったとて、「あの店に行けば誰かしらいる」という馴染みの溜まり場を持ってる人も多々いることだろう。

 

でも何だろう。

お金も使わずに大した期待もせずに、ただ寄れる場所があるというのは心情的にもかなり安らぎを与えてくれていた、と思うのだ。

 

あの部室、今はどうなっているのだろう。

当時のぼくと同じように誰かの安らぎの場になってくれていれば嬉しい。

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