誰が仕組んだのか偶然なのかわからないが今、急激に『懐かしい』ブームだ。
36年振りのトップガンの続編。令和に蘇った初代ウルトラマン(シンウルトラマン)、スラムダンクの映画化。ドラゴンボール。幽遊白書の実写化、他にもたくさん話題がある。
CMでは当時頭がおかしくなるほどハマった「スコーン、スコーン、湖池屋スコーン♪」や「ぴっかぴかの一年生〜♪」などが復活している。
率直に懐かしい。
ある文献によると人は「10代に触れた文化が生涯の主軸になる」そうである。
確かにそう言われてみると、10代のときに夢中になったもの、生活の一部だったものは今でも詳しく覚えている。
当時の巨人軍の先発オーダーはハッキリ言えるし、観ていたテレビ番組も覚えてる。
時々懐かし映像で昔の番組が流れるとテンションが上がる。
懐かしい音楽を聴くと、その曲を聴いていたあの頃の光景が蘇ってくるようである。
SMAP、TOKIO、V6、KinKi Kids、B’z、サザン、ミスチル、スピッツ、ゆず、19、大黒摩季、ZARD、TUBE、Kiroro、花*花、ラルク、GLAY、槇原敬之、小沢健二、ZONE、モー娘。、松浦亜弥、太陽とシスコムーン、鈴木亜美、浜崎あゆみ、河村隆一、センチメンタル・バス、Dragon Ashなどなど。
今適当にパッと思い出したアーティストだけ列挙したが、他にももっともっといて、その全てが懐かしく、ぼくを優しい気持ちにしてくれる。もちろんB’zやミスチルなどは今も第一線で活躍しているが、ぼくが好きなのはやはり自分が10代の頃に流行った曲である。
今から10年ほど前、20代後半のときに流行っていた曲も今聴くと「おぉ懐かしい」と思うのだが、10代の多感な時期に聴いていた思い出の曲とは感慨深さが全然違う。
この感覚はずっと色褪せることなく身体に残っていくのだと思う。
話はズレるが、一時期、古い友人たちと飲んだときに毎回思い出話になるのが心底嫌だったことがある。
ひと通り近況報告をしたら、自然に昔話へ。
それは「語るべき今の自分」を持ち合わせてないから、どうしても消去法的に過去を語ってしまうのだ、と思っていた。
自分を含むほとんどの人が「家と会社の往復」なので、取り立てて話すべき事柄が日々生まれない。
簡単に言えば「変わらない毎日」である。
それを象徴するかように毎回当たり前に昔話をして盛り上がるのが、自分自身の人生が進んでいないように聞こえてとても嫌だった。
だが今、それを嘲笑うかのように「懐かしい」を前面に押し出したメディアが増えている。
「そんな難しいこと言わないで、懐かしんでくださいよ〜」と過去が笑顔で押し寄せてくる感触だ。
すごく温かい。
昔よりも「今」を語りたい傾向はあるが、こういう自然発生する懐かしみは、自分の人生の証なので大切にしていきたい。
ぼくはあの頃を熱烈に歓迎する。