コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯109 嘘と付き合いの狭間

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役者や監督の知り合いが増えた。

 

ここ2年ほど俳優業に注いでいて、色んな場所に顔を出すことでそれなりに知り合いが増えた。

煩わしい人間関係にはうんざりだが程よい距離感を保てるのであれば、顔見知りが増えるのは特段嫌なことではない。

 

しかし困ることもある。

 

それが作品の感想だ。

舞台にしろ映画にしろ、知り合いの役者が出てる&監督してる作品の感想に大変気を遣う。

 

「どうでした?」と直接聞いてくる不躾な輩は少ないが、それでも「観た」という事実が先方に伝わっている際はSNSで触れざるを得ないときもある。

 

これはぼくの勝手なルールなのだが「SNSに嘘は書かない」ようにしている。

 

この場合の嘘とは「海外旅行しました!」や「映画賞獲りました!」という物理的な類ではなく心情的なものである。

 

例えば、面白くない映画を観たときに「オススメです!」と皆に鑑賞を促すような投稿をすることを指す。

 

上から下に垂れ流れていくだけのタイムラインにぼくのような人間の意見など、重要性も影響力もないのは百も承知だが、それでもフォロワーに対して嘘の気持ちを投稿するのはとっても気が引ける。

 

楽しめた作品はいい。純粋に思ったことを言葉にして綴ればいいだけだ。好意的な感想であればあっという間に関係者がいいねを押してくれる(それも少し気味悪いと感じているが)。

 

しかしそうでなかったものに関しては大変困る。芸術の良し悪しなど所詮は個人の主観でしかないのだが、つまらなかった!と声高に宣言して特定の誰かを傷付けたいとは全くもって思っていない。

 

『作品は合わなかったけど、その作品に出てた知り合い自体は応援してる』というのが純粋な気持ちだ。嘘の投稿はしたくないけど応援してる気持ちは知り合いに伝わってほしい。

 

しかしどうすれば…?

 

そんな嘘と付き合いの狭間で何か効果的なやり方はないものかと1年近く考えていた。

 

そして遂に、というか気付いたらこんなワザを編み出している自分に気が付いた。

 

以下、説明する。

 

まず知り合いが関係している作品を鑑賞する。

そしてその作品が良かったら、その思いをありのままにSNSに書いてアップする。

 

ここまではいつも通り。

 

次に、作品がイマイチだった場合。そのときは「作品を観たという事実」だけを投稿する。

 

具体的にはこうだ。

 

作品が良かった場合。

「○○鑑賞。役者の高い演技力が客席に安心感を生み出し作品世界への没入を誘う。終盤の怒涛の展開はスリリングでテンション爆上がり。真実とは常に一方通行なのか。不寛容な現代社会に問う強力なメッセージを感じました。良作。」

 

作品がイマイチだった場合。

「○○さんが出演している〇〇を観てきました!久々に〇〇劇場に行ったけど駅の周りが全然変わっていてビックリしました。〇〇さんも元気そうで何より!(写真)」

 

言われてみると違いが歴然であろう。毎回ここまで極端ではないが、今はこれを使い分けてSNS投稿をしている。

 

知り合いが増える度に本当の言葉が封印されていくのが少し憂鬱だが、できることであれば誰も傷つけずに、嘘を付かずに平和に世の中と交流していきたい。

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