コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯108 歌舞伎の話~その七

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ここまで長々と歌舞伎について書いてきたが、今回が最後のテーマ「歌舞伎とお金」だ。

何年か前も記事に書いたが歌舞伎のお弟子さんの収入はとても低い。

 

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歌舞伎を去りゆく者には去った人の数だけ各々理由が存在すれど、その一つには「お金」が含まれているのではないだろうかとぼくは勝手に考えている。

 

ぼくの主観だが、だいたいの問題は大抵お金で解決できる。というか、お金さえあれば行動の選択肢が増えるので激しく苦しむことはない。

 

しかしお金がないと人は病む。

心が病むと次に身体が病む。

 

若い頃は歌舞伎への情熱だけでやっていけるのかも知れない。しかし歳を取り、結婚や子供を持つことを考えていくとお弟子さんとしての収入だけで生きていくのは、とても難しいことなのではないだろうか。

 

現にぼくの知り合いの歌舞伎役者は「結婚して普通に暮らしたい」から辞めた(無論、お弟子さんの立場で結婚し子供を育てている役者もいる)。

 

コロナになってから収入が減ったのか、どの程度の補償があるのかは知らないが、少なくともぼくが歌舞伎の世界にいるときはお弟子さんの仕事量は異常だった。

 

(月によるが)朝から夜まで歌舞伎座にいて、当時は休演日もなかったので月25日休みなし。

千穐楽の翌日から来月の稽古が始まるときは一ヶ月休みなしなんて普通だった。

 

『その忙しさ』で低収入である。

 

俳優や芸人など「仕事がなくて低収入」はよく聞くが、一ヶ月「歌舞伎役者として」の仕事をしていて低収入は考えものではないだろうか。

 

自ら歌舞伎の世界に入るからには『歌舞伎が好き・歌舞伎に関わる仕事がしたい』という気持ちは持ち合わせているはず。

 

前述の通り、歌舞伎役者(お弟子さん)が廃業する理由は各々違うし勝手な推測でしかないが、『歌舞伎が好きだが歌舞伎役者では(金銭的に)生きていけない』という気持ちを抱えて歌舞伎界を去るお弟子さんがいるのであれば、それは業界全体で最優先でサポートすべき問題だと強く思う。

 

何故なら、今の時代「歌舞伎に興味を持つ人」が圧倒的に少数だからだ。

歌舞伎そのものを維持する為にもお弟子さんのチカラは必須である。いなければ興行ができない。

 

以上、七回に渡って長々回りくどく書いてきたが、ぼくが歌舞伎界に感じる大きな問題点はこうだ。

 

・一般人と歌舞伎の遭遇率が低すぎる。故に興味を持たれない→客足が遠のく。

・歌舞伎の世襲制及び覆しようのない格差社会は時代に逆行している→閉鎖された世界の出来事と思われている。

・現実的に生きる今の若者は「十分なお金をもらえない、頑張っても主役になれない」という夢を感じない世界には寄り付かない→歌舞伎役者希望が増えない。

・お弟子さんの減少は業界の衰退に直結している→数だけでなく貴重な知識や経験が失われている。

 

解釈を間違う人間が多いので何度も書くが、これは否定ではなく指摘である。

 

攻めているようで守りが疎かになっている歌舞伎界。

平成中村座や超歌舞伎など華やかで分かりやすい公演、動員数や売上だけでは見えない問題が緩やかに、且つ確実に近付いてきてる気がしてならない。

 

おわり。

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