こんにちは、小野哲平です。
数年前にアメブロで書いて好評だった記事をこちらにも載せます。
ライブドア時代の記事は消えちゃったけどアメブロはまだ残ってるんだよ
早拵えについて
歌舞伎の醍醐味のひとつに「早拵え」があると思います。
さっきまであの役だったのにあっという間に違う役になってる!!
みたいな感じです。
同じ演目の中でドンドン衣装が変わって盛り上がることは皆さんよくご存知かと思いますが、演目と演目の間、幕間にも早拵えがあることはご存知でしょうか?
例えば2016年10月歌舞伎座。
夜の部最初の演目「外郎売」。
35分ほどの芝居ですがその最後まで福之助さんは出演しています。
そして次の演目は「口上」。
役者がズラーっと並んで挨拶をする、歌舞伎を見たことない方でもその絵面はなんとなく見たことあるような有名なモノです。
この月は襲名披露なので「口上」の幕開きから当然福之助さんは舞台の上にいます。
「外郎売」の化粧・衣装と「口上」のは全く違います。
「外郎売」が終わって「口上」が開くまでの休憩時間はわずか25分……。
では、どうするのか?
急ぐんです!!
シンプル!!
「外郎売」上演中に化粧を落とす道具、次の化粧道具を化粧前に出しておきます。
そして「外郎売」が終わります。
福之助さんが急いで楽屋に帰ってきます。
そのときに福之助さんの動線を確保するのも僕ら裏方の仕事です。
事情を知らない方に「福之助通りまーす!!」と道を空けてもらいます。
急いでかつらを外して衣装を脱いで化粧を落としてまた化粧して衣装着てかつらをつけて舞台に行くのです。
衣装さんも床山さんもお弟子さんも付き人もフル回転!!
そして25分後には再び舞台上へ。
ひー間に合ったぁー
お客様がのんびりされてる時間に裏では日々このような戦争が起きています。
演目の中だけでなく、
幕間での早拵えにも注目するとまた違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。
せっかくの歌舞伎鑑賞、
隅から隅まで楽しんでください(^^)