コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯55 行きつけのスーパー

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二年弱、週に4、5日のペースで利用していたスーパーが閉店した。

 

駅前にある巨大なやつだ。

ワンフロアだけど広い。

 

レジ打ちをする女性スタッフ陣がめちゃくちゃ明るくて好印象だった。

 

最初は普通の接客だったが何度か通う内に「いつもありがとうございます!」に台詞が変わった。

ちょっと特別な存在になったような気分だった。誰にでも言ってるのかも知れないが。

 

ぼくは基本的に同じ店には何度も行かない。

 

理由は簡単で常連になりたくないからだ。

自身が接客業をしているときに常連さんがあまり好きではなかった。勿論わかりやすく嫌な客もいたが、そうでもない普通の客でさえもぼくは嫌になってしまうのだ。

 

何というか、毎日同じ人を見るのが嫌なのだ。

 

自分がそうであったので、どこの店でも自分と同じようなタイプのスタッフがいると思って、どの系統の店でもなるべく常連にはならないようにしてる。

 

まとめると、ぼくが常連にならないことで、そこで働いている人のメンタルケアをしているのだ。立派だ、ぼくは。

 

しかしそのスーパーだけはほぼ毎日通った。

めっちゃ甘いパンとおにぎり。毎回同じものを買っていたので、陰でアダ名なんて付けられていたかも知れない。

 

しばらく通うとポイントカードをオススメしてくれた。

「毎日利用されてるので良ければどうぞ」と案内の紙をもらって、作ってみた。

 

現金精算だとポイント○倍!的なサービスをよくやっていたが、ぼくは基本電子マネー精算なので全然ポイントが貯まらなかった。

 

それでも生きてる限り食料品は必要なので、スーパーには半永久的に通い続ける。

そうすりゃいつかはポイントも膨れ上がる、なんてことを考えていた。

 

バレンタインデーも誕生日もクリスマスもそのスーパーに通った。大晦日も。

「また来年宜しくお願いします。よいお年を!」なんて店員さんに言ってもらえて1月2日には再会した。

 

店に貼り出された案内で閉店を知った。

 

それから少しずつ店内の装飾品が無くなっていった。

 

シールにお別れのメッセージを書いて貼るというボードがあったので、

「今までおにぎりありがとうございました。美味しかったです」

と書いた。

 

「昔ここで働いてました!厳しい指導でした!」

「大好きなお店でした!」

「今までお世話になりました!!」

 

そのボードにはここで過ごしたそれぞれの気持ちが溢れていた。

 

思ったよりも寂しくて店員さんとは最後まで閉店についての話はしなかった。

 

最後の日、コツコツ貯めたポイントが300円ほど貯まっていたので、いつも値段的に敬遠していたとんかつ弁当を奮発して買った。

 

美味しかった。

こんなに美味しいなら、たまには買っても良かったかな。

 

でも、もう買えない。

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