コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯45 家から出れない

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もういい加減にしてほしい。

 

前回家に入れなかった件について何度か連作で書いたが、それから数週間、年を跨いだ2022年初頭に再度問題が起きた。

 

東京に大雪が降った日のことである。

その日16時半に美容室を予約していた。

 

外は視界を遮る危険な大雪だが、スケジュール的にその日を逃すとしばらく行けなくなるので、どれだけ雪が降ろうとぼくは髪を切ることを神に誓っていた。

 

最寄り駅ではなく少し離れた駅の近くに美容室はある。徒歩25分程度。

16時に出れば綺麗に5分前に到着する算段である。

 

外は大雪。ぼくはマフラーに厚手のコート、インナーも重ねに重ねてホカホカ状態で家を出た。

そのとき16時数分前。

 

4階からマンション1階に着く。

例のオートロックドアがそこにある。

 

いつものように黒いボタンを押す。

何も鳴らない。施錠されたまま。

 

以前も書いたように時折調子の悪い日はある。その際は丁寧に何度か押したり、長押しすることで解除される。今回もそうした。

 

しかし、開かないのである。

 

時間の経過を待っても開かない。

完全にマンションに閉じ込められた。

 

他の住人が誰も管理会社に報告してないということなので、きっとこれも「時間が経てば自然に戻るのだ」、とは思う。

 

しかし、時間て何だ?

これから先、オートロックが上手く機能してないことも考慮してその分早めに家を出なきゃいけないのか。

 

ふざけるな。

 

そんなことを考えながら10分が経つ。ぼくはその10分間マンションから出れずにドアの前に立っていた。ボタンを押したり、何もせずに待ってみたり。

 

何をしても、時間が経っても施錠は解除されない。証拠として、ボタンを押しても何も反応しない様子をスマホで録画する。

そして4階の我が家に戻る。エアコンを切ったばかりでまだ部屋が温かい。

 

まずは美容室に電話。

直前で申し訳ないがキャンセルを申し出る。

 

「マンションから出れなくなった」と告げるがそんなこと誰もが信じないだろう。

言ってて悲しくなる。

 

幸い何度も通ってる親しい店なので、問題なくキャンセルはできた。

 

続いて管理会社に電話する。

年末に電話で話した女性が出る。

 

今起きたことを正確に丁寧に伝える。

年末に電池を交換して感度は良くなったが、そもそもドアが正しい位置まで自然に戻らなくなっているので、電池だけではダメだと思う旨を伝える。

 

ていうか家から出れないんだけど?

 

時間が経てば出れるとかそういう問題ではなく、今、現実に予定を変更せざるを得なくなった住人がいることを受け止めて、管理会社としてあるべき対応を取ってほしい。

 

ていうか家から出れないんだけど??

 

相変わらずぼく以外の住人から報告を受けたことがないようなので、過度なクレームにならないように言葉を選びながら事実だけを伝える。

 

今、この電話で怒り散らしたところでドアが直るわけではない。ただ今後も同じことが起きた場合、こちらとしては都度そちら(管理会社)に電話するしか術がないことは主張する。

 

何度も謝罪され、すぐにオートロックの会社に連絡するという話になった。

 

時間の経過や偶発で異常が発生するので、一度や二度、正常に動くのを確認したところで根本的な解決にはならない、と伝える。

 

「その後のオートロック会社の対応とかはこちらに連絡してもらえるんですか?」

「はい、連絡すべきことがあればお電話させていただきます」

 

何でもいい、直してくれ。

本当にそれだけなのだ。

 

そして次の日、管理会社から電話が掛かってきた。

続く。

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