コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯104 歌舞伎の話~その四

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現代社会において、面白いものは無限に溢れている。以前はテレビや本など気軽に楽しめる娯楽の選択肢は狭かったが、今ではスマホ片手に世界中のあらゆる「面白いもの」が秒で何でも手に入る。それも無料で。

 

そんな時代に「お金を払って」「足を運んで」「時間を使って」楽しみたいものなど相当ハードルが高い。物価だって上がっている。庶民にとってお金とは命である。

 

さほど興味がないものを「お金を払って試しに観てみよう!」なんて考える人は少数派で、ほとんどの人は「興味がないものにお金は払わない」。

 

興味があったとしても慎重だ。

例えば、映画だって食事だって買い物だって、多くの人は何かにお金を払うときは事前に評価サイトで評判を調べるだろう。既に経験した人のレビュー(感想)を読んで次の行動を決める。

 

要するにみんな「失敗したくない」のだ。

極めて真っ当な意見である。

 

この「失敗したくない」という気持ちが、未知の世界である歌舞伎に触れることを拒む大きな要因だとぼくは考えている。

 

大金を払ってよく分からなかったらどうしよう。本当に自分なんかが楽しめるだろうか。

一度不安が頭をよぎると、行くのを拒む理由など無限に見つかってしまう。

 

特に歌舞伎は一般人からすれば未知の世界。そのハードルは他の有名人が出てる演劇よりもずっと高いことを関係者一同熟知していなければいけない。

 

では、どうすればいいのか。

 

「観に来てくれたら絶対に楽しませる自信がある」

たまに歌舞伎役者のインタビューでこの言葉を見掛ける。

 

面白いかどうか、これも重要な問題の一部だが、今歌舞伎界が取り組むべきなのは「面白そうに見せること」だとぼくは思う。面白ければ次回も来てくれるだろうが、そもそも「面白そう」でなければ一度も来てはくれないのだ。

 

歌舞伎好きな人、そうじゃない人、全ての人に問いたい。

 

歌舞伎は面白そうに見えますか?

 

面白い面白くないの経験に基づいた主観じゃなく、第三者の立場から見たとして、だ。

 

ぼくは歌舞伎は好きだが、面白そうには見えていないと思う。

 

正直、歌舞伎座のチラシを観てワクワクはしない。HPだって淡々としてる。演目のあらすじも翻訳アプリで外国語を無理やり日本語にしたような読みづらい文章。お弟子さんが良い役を演じても幹部俳優しか名前を表に出さない謎の決まり。

 

他の演劇に比べて魅力的だと思う部分がない。

 

言うまでもなく、今はネットの時代である。歌舞伎に興味を持って検索してくれた人の受け皿が(少なくとも公式からは)何も用意されてないのは死活問題といっていいだろう。

 

ネットのコンテンツを充実させる、なんて宣伝の初歩の初歩である。

 

こうなってくると、もはや歌舞伎の客離れを嘆いているのは歌舞伎役者と歌舞伎ファンだけなのでは、という途方感さえしてくる。

 

続く。

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