コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯50 トムランド

フォローもメッセージも待ってます!!
コラム

週2でお送りしてるこのコラムも遂に50回目。

前々から50、100回などの区切りの回は通常よりも内容が深いことを書きたいとぼんやり思っていた。

 

なので今回、初の区切り回は「トムランド」のことを書く。

どこにも書いてない今現在思う正直な気持ちだ。

 

知らない人の為に説明すると、トムランドとはぼくが代表となって活動していた役者の集団である。厳密には劇団ではないのだが、そこを区別する上手な言葉を持ち合わせていないので、読んでる間は劇団と思ってもらって構わない。

 

と説明はしたものの、トムランドを知らない人にとっては今回は何も面白くないコラムなので、知らない方はここで離脱してもらっても構わない。否、そうしてほしい。

 

よろしいだろうか。

さぁ始めよう。

 

2014年からぼんやりと活動していたトムランド。2020年に予定されていた公演がコロナで中止になって以来、活動休止中である。否、もう復活することはないであろう。

 

その理由も含め、ここから深い話をしていく。

 

今現在、及び公演中止からずっとトムランドに抱いてる気持ちは『反省』でしかない。

後悔ではない、反省である。

 

トムランドに集いしメンバーはぼくを含め、全員が『何者か』になりたい若者であった。俳優ではなく『何者か』という表現にしたのは各々が理想とする像が違かったからである。

 

ただ、間違いなく言えるのは「皆、人とは違う何か特別な存在になりたかった」ということ。

 

そのような若者が集まり、決して短くない時間を共に費やしたときに結果として華やかな結末が出てこない以上、全ての責任は代表であるぼくにあると自認している。

 

ぼく自身が大成してないし、指導力もない。

それでも皆はぼくに付いてきてくれた。

 

個々の能力や思想はさておき、少なくとも時間はあったのだ。

皆で集まり稽古をしていたその時間をもっと有効に使えば良かった。

 

一番の好機は2017年11月に上演した「儚人〜はかなびと〜」の後だったと思う。

 

トムランドの初公演。小さい劇場だったが皆で頑張って宣伝し、全ステージ満席。およそ半年かけて稽古した本作は終演後も拍手が鳴り止まなかった。純粋に感動した。今なお胸を張って自信作と言い切れる。

 

勿論、今作り直せばもっと良きものができる自信はあるが、間違いなくあのときはあれが限界値であった。お客様の反応はメンバーにも確かな手応えと自信が芽生えたはずだ。

 

問題はそのあとである。

スポーツと同じで団体行動には勢いが必要だ。イケイケ押せ押せムードになったときは個々の士気が高まり全体として大きなうねりを持った波となる。

 

その好機を逃した。

そこでぼくが慎重に舵取りをして自分自身を含む皆を良き方向に導ければ良かった。

 

でも上手くいかなかった。

未熟だったからだ。

 

諸々の事情はあれど、そこの盛り上がりを維持できぬままダラダラと稽古を続けてしまった。

体外的にも内輪的にも「儚人〜はかなびと〜」後のトムランドが一番盛り上がっていた。それは間違いない。

 

そして2019年。決して先頭グループではなかったがトムランドはYou Tubeに手を付けた。

今でこそ誰もが個人でも気軽に始めれるコンテンツだが2019年当初はまだ今のように混戦状態ではなかった。

 

そこでしっかり策略を練り、ドラマでもバラエティでも高いレベルで作品を提供すれば、またそういう作品づくりの知識も皆で学ぶことができれば、今とは違う未来になっていたはず。これもまた反省である。

 

他にも反省を列挙すればキリがないのだが、何よりも最大の反省は「メンバー同士が互いに無関心だったこと」に着地する。

 

仲が悪いわけではない、会えば皆で笑い合うしお酒を囲むこともある。

ただ、根底にある「他者への無関心さ」が代表として拭うことのできない悩みであった。

 

出会いこそぼくを通じてであったが、それから多くの時間が流れている。なのに最後まで互いがぼくを通しての関係性に集約してしまった。

 

ぼくがいないときに個々がプライベートで遊んだり、連絡を取り合うことがないのだ。それはつまり、ぼくの知らない場所で「トムランドとしての何か」が派生していくことがないことを意味している。

 

何もかもがぼくの指揮下。ぼくが言えば皆が従うが、言わない限り何も始まらない。

2020年の公演決定も公演中止もぼくの一存で決まり、反対の声も議論の声もなかった。

 

そういう「言えば従う関係」にぼく自身も深く疲れていた。

 

しかし、そうなってしまった原因は何故なのかと突き詰めると、結局はぼくが代表として強く君臨してしまっていたからに尽きる。ぼくが決め、ぼくが指示し、ぼくの指揮下で全てが動く。ぼく自身がトムランドだったのだ。

 

ここで冒頭の反省に戻るが、言えば従うのであればぼくが正しく導けるようにもっと勉強すればよかったのである。全くもってメンバーに罪はない。

 

それが生み出した最大の事件が出演者の身勝手な降板。

 

結果的に公演そのものが中止になったものの、2020年の舞台に出演予定だった役者がチケット販売直前に降板を申し出てきた。既に台本もあり配役済み、チラシに顔写真も載せて印刷済み。さぁこれからチケットを売りましょう!というときの出来事である。

 

理由は端的に言えば「もっといい仕事が見つかったから」。映画やドラマではない、はっきり言うが同じくらいの規模の舞台と比べられてあっさりこちらを降板した。こちらのがずっと前から決まっていたのに。

 

これには深く絶望した。ルール違反どころの騒ぎではない倫理違反だ。

チラシまで作って「降板します!」が許されるわけない。

 

無論、その役者にも事情があるので必要以上にここで論じることはしないが、そういう倫理的な部分を含めても長い時間を共に過ごした役者仲間の根底を理解しきれなかったのは代表として無念としか言いようがなかった。

 

それからのコロナ。

週一で集まっていたメンバーも2020年のこの時期を境に会っていない。それまでもそうだったように、ぼくが会おうと言わない限り何も起きないのだ。きっと今は個々が自由に何かをしていることだろう。

 

皆がどうしているか心配で半年に一度グループラインに「元気ですか?」と投稿しても「元気です!」と事務的な返事が返ってきてやり取りは終わってしまう。その文面からは共に長い時間を費やした情を感じることはできない。いつものように聞かれたことに答えただけ。

 

トムランドが活動休止してることについてもメンバーから問いが出たことはない。「活動休止します」「了解です」程度だ。

 

ぼくはもう「団体を率いていく」という立場に疲れてしまった。

またやりましょう!と言われれば燃える何かがあると思うが、ここまで読んでお分かりのようにメンバーから声が上がることはない。

 

仲が悪いわけではない、と少なくともぼくは思っている。

 

ただ代表として皆を結束させる道標になれなかった。

コロナ禍自体は良いことではないが、コロナ禍で気付かされたこともある。

 

今は活動休止になって良かったと心から思ってる。
ぼくもメンバーも皆、多くのストレスを抱えていたはずだ。

 

もうメンバーを解放してあげたい。

 

トムランドはとても楽しい時間だった。
メンバー全員を愛しく思っている。

 

ただ、振り返って浮かぶことはいつも「反省」なのである。

 

またいつか皆でお酒を囲みたい。

皆が嫌でないのなら。

コラムトムランド
面白かったらシェアしてください!
フォローもメッセージも待ってます!!
スポンサーリンク
スポンサーリンク
小野哲平作品、ご案内
ぼくの書いた舞台脚本がKindleで販売されてます。 ぜひご覧ください。
ぼくは毎日書いてます