コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯35 のどちんこ

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これをお読みの皆様に問いたい。

 

オフィシャルな場で「のどちんこ」という言葉を使わなければならないとき、どのように説明しているだろうか。

 

やや恥じらいはあるものの、家族や友達の前でなら問題なく「のどちんこ」と口にすることができるだろう。

 

ただそれとは別のオフィシャルな場で初対面の異性を前に貴方は堂々とその言葉を言えるのか?

ちょっと、いやかなり、恥ずかしくはないだろうか。

 

そもそも「のどちんこ」という通称はどういうものか。普通に「ちんこ」って入ってるではないか。5文字中3文字が卑猥だ。四捨五入すればもうちんこである。のどちんこ、ほぼちんこ。

 

どうしてこんな呼び名になってしまったのか。

 

ノドにあるちんこっぽいのだから「のどちんこ」って呼ぼう、と最初に決めた奴はマジでさらし首レベルの罪人だと思う。

仮にのどちんこというピッタリの名称を思い付いたとしても、そこはグッと我慢して「のどぶらりん」とか「のどでっぱり」とかにしてもらいたかった。決してその場のノリで決めていい部位ではない。思い付いたヤツはあの世で謝罪してほしい。

 

前置きが長くなった。どうしてこんなことを思ったのかを説明する。

 

少し前の話だが、のどちんこの先端に白い出来物ができた。

 

のどちんこの先が白くなったのでない。のどちんこの先端にプラスして白くて大きい出来物ができたのだ。つまりのどちんこが従来の長さよりも出来物の分だけ長くなる。何をしていても舌にのどちんこが接しているように感じる。

 

常にノドに異物が詰まっている感覚と言えば伝わるだろうか。

これがかなり気持ち悪い。何をしていても息苦しく食べ物は上手く飲み込めない。更にノドは日に日に腫れていく。

 

鏡でのどちんこを見てみると白い出来物は徐々に大きくなっている。それに伴い苦しさも比例する。

怖くなってネットで色々と調べてみた。ポリープ、咽喉がん…恐ろしい言葉がひた並ぶ。こりゃあかん、何事も初期対応が大事と、ぼくはすぐに咽喉科を予約した。

 

そこで冒頭の問いに戻る。

のどちんこって…何か言いづらいな。

女性の先生だったら恥ずかしい。

 

しかしぼくが予約したのは駅前の老舗っぽい咽喉科である。ネットを見る限り超ベテランのお爺さん先生みたいだし、咽喉科ってぐらいだから普通の人よりも「のどちんこ」って言う機会も多いだろうし、何なら普通のちんこですら「のどちんこ」と呼んでることであろう。

 

一応ぼくはのどちんこの正式名称「口蓋垂(こうがいすい)」を覚えてから病院に向かった(てゆうかお前口蓋垂って言うのかよ、生まれて初めて知ったわ)。

 

受付。マスク姿の若い女性に聞かれる。

「初診ですね、今日はどうなさいました?」

 

「あ、口蓋垂が」

 

「はい?」

 

「口蓋垂の先に」

 

「はい?」

 

「のどちんこがおかしくて」

 

完全に言わされた。何のプレイだ。

 

名前を言われて診察室に入る。

例のお爺さん先生がそこにいる。

ぼくは言う。

 

「のどちんこの先端に白い出来物ができて」

 

え、ここで説明するなら受付のくだりいらないじゃん。そう思いつつも状況を説明し、口を開けて腫れ上がったのどちんこを見せた。

 

「はい、口内炎」

瞬殺だった。「はい、オッパッピー」と同じリズムで言われた。

 

飲み薬を処方されてぼくは病院を出た。

会計のときに受付の女性(のどちんこと言わせた女)に「どうでした?」と聞かれ、「口内炎でした」と答えた。「え〜そんなとこにできるんですね〜」と驚く女。お前咽喉科の人ちゃうんかい。よくいる受付だけのバイトなのだろう。

 

そんなわけで、のどちんこの出来物と「のどちんこ」という言葉についてとても考えさせられた出来事であった。

 

今日これを読んだ人は「のどちんこの先端に大きな口内炎ができること」を覚えて帰ってもらいたい。

 

では、解散。

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