コラム(不定期更新) 怖いネカフェの話

♯8 乗り遅れる人

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駆け込み乗車をする人が苦手だ。

ギリギリ乗れる人はまだしも、間に合わずに身体の一部がドアに挟まり、再度ドアが開いたときに何食わぬ顔してしれーっと乗り込む人など以ての外である。そのままドアに挟まれてミンチになって蟻に喰われてしまえと思う

 

駆け込み乗車はお止めください、と誰にも届かない悲痛な願いを毎日叫び続けてる駅員の気持ちにもなってほしい。あれは貴方の安全を訴えてるのだ。

 

個人的には駆け込むくらいなら余裕持って5分早く家を出ろと思うが、ぼくも人の子だ。人にはそれぞれ事情があることは理解している。

 

その電車じゃなくても間に合うけど、目の前の電車、頑張れば乗れそうだからとりあえず駆け込んどく?的な「もう一軒いっちゃう?」くらいの感覚で駆け込み乗車をしてしまう気持ちもわからなくはない。

 

なので線引きをしようと考えた。

ぼくなりの怒りの境界線である。

 

まず、乗れるか分からないけど「ギリギリ乗れそうな電車」に駆け込む人は許す。

寝坊したのかもしれないし、家族が危篤かもしれない、もしくはヤカンを火にかけたまま外出して慌てて帰宅するのかもしれない。

 

結果として挟まれようが、間に合わずに諦めてその場でキレてようが許す。許すのだ。

余裕があれば心の中でガンバレ!とエールを掛けてもいい。

 

我ながら大胆な譲歩である。

冒頭でドアに挟まれたヤツはそのままミンチになって蟻に喰われろと言ってた者とは思えない。

 

だがこれはあくまでも「ギリギリ乗れそうな電車」に限る。つまり傍目から見ても乗れるか、乗れないかの結果が想像つかないケースだ。

 

しかし、次の場合は絶対に許さない。

それは「完全に間に合わないのに乗ろうとする人」である。

 

先も言ったようにギリギリ間に合うかどうかの瀬戸際で戦う者は許す。ただ階段途中で既にドアが閉まりかけて、もうどう足掻いてもそこからじゃ間に合わないのに人を押し退けて走るやつ。ボルトでも間に合わないのに人の迷惑も考えずに全力で走る乱暴なやつ。こいつらは許さない。てかボルトなら目的地まで走れ。

 

ぼくも何度かこういう失礼な連中に背中を押されたりプチ体当たりをされたことがある。きっと多くの人が経験してるはず。この人たちはどうしてもう乗れない電車を目指して走ってるんだろうか。

 

諦めたらそこで試合終了だが、さすがに急に後ろから突き飛ばされたら安西先生もマジギレしてめっちゃ体罰すると思う。

 

とにかくどんな事情があろうとも、どう考えても間に合いそうにない電車は諦めてもらいたい。この潔さを義務教育で叩き込んでほしい。

 

たぶんギリギリで別の人が挟まって、車掌さんが仕方なく一度ドアを開いたときに乗り込めるかも、と僅かな可能性に掛けてドア付近まで走ってるのだろうが、はたはた迷惑な話である。

 

乗れないと分かっていても最後の最後まで可能性を諦めきれずに走ってしまうのならば、乗れなかった時点にすぐさま振り向き、途中で身体が当たった人全員に謝れ。じゃないといつか大きなトラブルになる。

 

ぼくは駆け込み乗車をする人が苦手だ。

しかし、もしそんなぼくが駆け込み乗車をしている場面を目撃したらそっと見なかったことにしてほしい。

きっとヤカンの火を消し忘れたのだ。

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