こんにちは、小野哲平です。
読んだのは随分前なのに、ふとした拍子で思い出す作品てありますよね。
めっちゃある!!
初めてその作品に触れたときの衝撃が脳内の片隅に残っていて、それが何かのキッカケで飛び出す。
自分が思ってる以上に脳には沢山の情報が蓄積されています。
今回紹介する小説「汝の名」はぼくにとってまさにそんな作品。
そこに描かれていた狂気に驚き震えた感覚が身体に染みこまれていて、時間が流れた今でもふと内容を思い出します。
今日は狂気と心理のサスペンス「汝の名」について書きます!!
汝の名
明野照葉(あきのてるは)さんが書いたサスペンス小説。
初版は2003年に刊行されています。中央公論新社。
明野照葉(あきのてるは)
1959年生まれ。1982年、東京女子大学文理学部社会学科卒業。
富士ゼロックスなどの勤務を経て、1998年、「雨女」で第37回オール讀物推理小説新人賞受賞し、小説家デビュー。2000年、『輪廻』で第7回松本清張賞を受賞する。
あらすじ(ネタバレあり)
ざっくりと本作品のあらすじを途中まで説明します。
細かい箇所は省いてるよ!
その美貌を武器に、群がる男たちを利用して事業を成し遂げていた女社長の麻生陶子には秘密があった。彼女の本当の名前は三上里矢子。しがないOLだった彼女は、ヒモ同然の恋人との同棲生活に嫌気が差し自分の人生を変えたいと強く思っていた。
そんなときに出会った男が河島宏治。ブランド品や不動産、金融業など幅広く事業を展開する河島のツテで「麻生陶子」の戸籍を借りた里矢子は別人として自分の人生をやり直す決意をする。
そうして三上里矢子は、麻生陶子として生まれ変わり、河島の援助により住まいや身につけるものも洗練され、やり手の女社長として成功者の階段を着実に昇っていく。
一方、三上里矢子の高校時代の友人、杉本久恵は里矢子とは正反対の人物だった。地味でネクラで幼児体型の久惠は美しい里矢子に憧れを抱き、それはいつしか信仰になっていた。
依存心が強い久惠を利用できると考えた陶子(里矢子)は、恋人にフラれて精神が疲弊し、働く意欲も失われた久恵を自分の妹役にして自宅に居候させ身の回りの世話をさせる。
新たな魅力的な男性(壱岐亮介)に出会い自分が河島の手の上で転がされていること、麻生陶子としての生き方が本来の自分ではないということに気づいた陶子(里矢子)は自らを偽って生きることを辞めようと決心する。
強迫観念が強く依存体質の久恵は陶子が三上里矢子に戻っていくことが怖くなり、同時に男を手玉に取る憧れの陶子が男に溺れていくのが我慢できなかった。持ち前の薬学に関する知識をつかい、陶子を薬漬けにして軟禁する。
こっからが終盤だよ!
みどころ
“支配ー被支配”と、そこから派生する“依存”がテーマ。物語序盤は陶子と久惠、二人で陶子の秘密を守り暮らしている。陶子の為なら簡単に殺人を犯すほどの忠誠心を見せる久恵。しかし物語中盤に陶子が真剣に恋愛を始めてからふたりの力関係が逆転する。
俗に言うどんでん返しモノです。あと悪女モノ。
後半は物語が二転三転していって、そのまま驚きの結末に向かいます。
細かい心理描写と女性の腹黒さは結構鋭い(というかエグい)点を突いていて、共感する女性も多いのでは。
本当に面白い小説なので是非是非オススメです!
一読の価値あり!!