こんにちは、小野哲平です。
今日はぼくが常々思っている
「地下アイドルと小劇場役者は似ている」という話を書きます。
長文になりますが、最後までお付き合いください。
数年前から地下アイドルとして活動している姫乃たまさんに興味があり、SNSでその動向を追っていました。
姫乃たまさんは地下アイドルとして活動する一方でライターとしても活躍されていて、地下アイドルに関する書籍を出版しています。
どちらも地下アイドルの世界を生々しく書いた本なのですが、ぼくがその2冊の本を読んで思ったのは、地下アイドルの世界と小劇場の世界はとても似ているということです。
それでは説明していきます。
また、本記事の地下アイドルにまつわる記述は、上記の二冊より引用しています。
地下アイドルとは?
大きな事務所に所属せずにライブ活動をするインディーズアイドルを指します。
しかしながら、従来メディアで活躍している地上アイドルとの明確な線引き・境目は定義されていません。
その規模や知名度は大小様々で年齢やジャンルもまとめきれないほどの「地下アイドル」がそれぞれ独自に活動をしています。
また、その深さ(深度)に応じてファンとの関わりが変わり、一般的に地上から深い位置にいる地下アイドルほどファンの数が少なく、その分ひとりひとりとの親密度が強いとされています。
小劇場役者とは?
小劇場役者も近いものがあります。
ここでいう小劇場役者とは小劇場を主戦場としている役者全てを指すのではなく、主にチケットノルマによる報酬をメインとして活動している無名役者を指します。
関連記事【チケットノルマとは】舞台に出演したのに自腹でお金をとられる謎のシステム。
小劇場の舞台そのものはレベルが高く、近年はテレビで名を馳せた方もその舞台に立たれることが多いです。
そういう意味での小劇場役者ではなく、今回取り上げる役者は駆け出しといった方がピンとくるかもしれません。
彼らもまた、テレビや映画などの華やかな表舞台を目指して日々活動しています。
ぼくもかつてはこの世界に身を置いていました。
地下アイドルが地上アイドルを目指して日々努力している存在ならば、小劇場役者は地下役者と言葉を変えても意味が通じるでしょう。
言葉の定義としては地下アイドルと同じ。
一般的に知名度があるか、ないか、です。
関連記事演劇活動は下積みなのか。舞台出身俳優が売れたときの拭いきれない違和感。
誰でもなれるの?
答えはYESです。
地下アイドル、小劇場役者、どちらも望めばすぐなれます。
地下アイドルは常に出演者を募集しているライブイベントが山ほどあり、衣装は私服、音源はカラオケ。
SNSで自撮り写真を公開してファンを獲得し、ツーショットチェキなどの有料サービスで収益化することも可能なのでバイト感覚で参加する子も多く、年々参入者が増えています。
ぼくの知り合いも少しの期間だけやってました。
小劇場役者も同じです。
地下アイドルと同じように常に出演者は募集されています。
役者を募集する掲示板ではあらゆる団体が出演者を募集しています。
なので、貴方がやろうと思ったらやれる世界です。
どちらの世界も簡単に足を踏みいることができ、簡単に足を洗うことができます。
地下アイドルが抱える闇
いいね!の数が可視可できるSNSは承認欲求を満たしながらできる最大の宣伝ツールです。
それゆえに写真加工アプリを使用するアイドルが9割以上。
個人で活動しているアイドルは間に入る大人がいない為、沢山の人に承認されたいアイドルと一人の推しに認知されたいファンのやり取りはしばしばエスカレートし問題化しています。
ま有名になりたいものの何が人気に繋がるのか分からない「正解のなさ」は女の子を精神的に追い詰め、分かりやすくいいね!が増える肌の露出を増やし続け、そのまま着エロやAV女優になっていくケースも少なくありません。
小劇場役者が戦っているモノ
それは環境です。
当然ながら誰でも出れる舞台にはそのレベルの役者しか集まりません。
低レベルな役者が必死で友人を集めてお客さんになってもらう。
お客さんの為の演劇なのか、自分たちの為の演劇なのか、それがよく分からない舞台が実際に山ほどあります。
何度となく見てきました。
ただ、間違いなく言えるのは、
本人達は真剣にやってます。
しかし現実問題として、
確かな指導者や導き手がいない状態で、作り出す作品は素人の域を出るものではありません。
早い段階でそれに気付いた役者は自らの環境を変えたり、大きな舞台・作品を目指して旅立ちます。
ぼくも真剣にこういう舞台に立っていた時期があるのですが、観に来てくれた知り合いに
こんな舞台100年やってもプロになれないぞと言われ目が覚めました。
自己満足は全てを盲目にします。
二つを結ぶ共通項
地下アイドルと小劇場役者、なんとなく似てる部分が分かりましたか?
ここで詳しくまとめます。
地下アイドルは自分が呼んだファンに、ツーショットチェキや自分のグッズを売ることでお金を得ています。
小劇場役者は基本的にノーギャラです。
ですがチケットノルマと呼ばれるシステムがあり、自分が呼んだお客さんの人数に応じてお金がもらえます。
つまり地下アイドルと小劇場役者に共通している部分は、人を呼ばないとお金がもらえないこと。
これが全てです。
なので一人のアイドルファンや演劇ファンを、何人かで奪い合うという争いが起きています。
関連記事【チケットノルマとは】舞台に出演したのに自腹でお金をとられる謎のシステム。
まとめ:裏で設けている存在がいる
結局客呼べって話だろ?
そんなんどこの世界でも当たり前じゃねーか!!
と思う方もいるでしょう。
ですが、ここまで読んでお気付きになりませんか?
地下アイドルも小劇場役者も常に募集されています。
おかしくないですか?
当人たちが人を呼ばないとお金は入ってきません。
お金が入ってこない段階で、そんな興行がずっと成り立つわけはありません。
そこから導き出される結論はただひとつ。
その興行で儲けている人間がいる
地下アイドルや小劇場役者そのものにお金は入らなくても、彼らが呼んだ少ないお客様や、彼ら自身から受け取るお金で、利益を生み出している人間がいるということです。
誰も儲からなかったらそんな興行消え去ってますよね??
だって誰もやりたくないんだから。
その興行主の客は、劇場に足を運んだ人ではなく、地下アイドルや小劇場役者そのものです。
そこからお金を生み出しています。
以前、演劇プロデューサーとして活動している方から、こんなありがたい話を聞きました。
舞台で儲けるのが一番簡単だ。
アイドルに主役やらせてファン集めて物販売って、周りの役者はチケットノルマにすればいい。
そうすりゃ簡単に儲かる。
若者の夢を搾取して生活している人間は確実にいます。
それを忘れないで下さい。