こんにちは、小野哲平です。
近年の演劇界では怪しげな団体が増えました。
劇場の規模と釣り合わない出演者の数、聞いたこともない役者の名前。
やたら増えるアイドル風の女優。異常に高額のチケット。
明らかに舞台を使って金儲けをしようとしてるのが丸わかりの業態です。
今日は舞台、主にチケットノルマを使ってお金を稼ぐ仕組みについて詳しく紹介します。
実際に舞台を手掛けてるプロデューサーが得意げに語っていたので再現性は高いです。
役者を目指す人は是非読んで、自分の頭で考えてほしいです。
チケットノルマを駆使して稼ぐ方法
演劇界に色濃く残るチケットノルマのシステムを使えばお金を稼ぐことは簡単です。
そのやり方を説明します。
関連記事【チケットノルマとは】舞台に出演したのに自腹でお金をとられる謎のシステム。
その1 出演者を増やす
これはもう基本中の基本。
単純に出演者を増やせばその分団体の収入は増えます。
だって全員にノルマを課せばいいんですから。
得体の知れない団体が出演者のめっちゃ多い舞台を作ってるのをよくチラシで見ます。
あとは舞台見ててたまにえ?この役絶対いらないじゃんという役。
ストーリーにちょこっと関わるけどそんなに重要じゃない、というかいなくても成立する役。
こういうのはただ出演者を増やす為だけに生まれたキャラクターなのかなと思ってしまいます。
出演者の数とチケットノルマありきで作品が作られている場合は、出演者の数が増えれば増えるほど確定売上が増えます。
だから手っ取り早いんですよね。
その2 ダブルキャスト
次は「ダブルキャストにする」です。
これも本当に増えました。
昔の小劇場にはほとんどなかったような…
商業演劇ならともかく、
小劇場のダブルキャストは完全にお金の匂いしかしません。
シングルの方が費やす時間も増えて芝居の質も向上します。
完成度を高めるならダブルにする理由がありません。
いいですか?
ダブルキャストにする理由がないんです。
それでもどうしてダブルにするのか?
それは単純に儲かるからです。
例えば10人芝居で三日間公演6ステージ。ノルマは30枚。1枚3000円。
確定売上は10×30×3000で900,000円です。
これをダブルキャストにします。
10人全員ダブルキャスト。6ステージを割って両チーム3ステージずつにします。
3ステージでノルマ30枚は可哀想なので20枚にします。
そうすると、(出演者)20人×(ノルマ)20枚×3000円で1,200,000円です。
【ダブルキャスト】1,200,000円(+300,000)
30万円増えた!!
公演日数もステージ数も変わっていません。
ただダブルキャストにしてノルマの枚数も減らしただけです。
役者としてはノルマが少なくなるのは嬉しいですが、
- 6ステージが3ステージ
- 稽古時間も半分になる
あとこれほぼ断言できるので書きますが、小劇場のダブルキャストの舞台はつまらないです。
だって稽古してないし
役者は一生懸命やってるんですよ。でもそれだけです。つまらない。
名のある演出家や劇団がやる場合は別ですが、得体の知れない団体で沢山出演者集めて、しかもダブルキャストでやってるところは200%金儲けしたいだけです。
客席も出演者の家族と知り合いしかいません。
以上、二点です!!
言葉巧みに役者を集めてこの二点を意識した舞台作りをすれば、絶対にお金を稼げます!!
騙されるやつらばかりです
もうお分かりかと思うのですが、こんなシステムで作られる舞台なんて、誰でも出れます。
芝居なんかできなくてもいいんです。ただお金を団体に献上すればいいだけ。
全然芝居できないやつが舞台決まりましたー!ってTwitterで宣伝すると、だいたいこういう怪しい舞台。
それを見る度にぼくは悲しくなります。
「どうにかして舞台に出たい!」という気持ちが「誰でもいいから舞台に出したい」という悪の組織に見つかってしまったんでしょうね。
そして大した稽古もしないまま本番。
何度か付き合いで見たことありますが、全部クソつまらなかったです。
しかもノルマも半端ないみたいで「ノルマ厳しいので来てくれませんか!?」という助けを求める連絡が個人的に届いたこともあります。
もう行かないけどね
それが本気の夢ならば
以上、今回もチケットノルマについて書きました。
何度も書きますがチケットノルマ自体は悪手だとは思いません。
自分の団体や本当にそれに貢献したいなら、自分を追い込んでチケットを売りまくるべきです。
その先に理想の未来が待っているかもしれません。
ただこのシステムは夢を追いかけている若者から簡単にお金を搾取できるシステムです。
だから事実としてこういう背景があることは知らないといけません。
俳優として成功することが本当に本気の夢であるならば、
搾取されないように知識を付けることも必要な努力だとぼくは思います。