トムランド代表の小野哲平です。
表題にあるように悲しいお知らせです。
6月18日~21日に上演を予定していた三年ぶりのトムランド公演「小さな怪物」は新型コロナウイルス感染拡大による影響を考え【公演中止】を決定しました。
既に先行チケットをお持ちの方は個別に払い戻しの連絡をさせていただきますので、しばしお待ち下さい。
以下、公演中止に至った細かい理由を書きます。
まず第一に、
6月に演劇活動が再開している可能性が低い。
仮に緊急事態宣言が5月末で終了したところで、せーのっ!でコロナ以前の生活に戻れるわけではないことは皆さん承知の上だと思います。
そこから少しずつ動き始める経済。
同調圧力や自粛警察によってすぐに営業が再開できない業種も出てくるはずです。
演劇もその範疇にあり、既に大きい劇場では7月末までの公演中止を発表しています。
そんな中で我々の公演を6月に強行することは、あまりにも無謀であり賢明とは思えません。
さらに我々の中に医療従事者はおらず、専門家の判断による安全な客席作りはできません。
それは稽古場の環境も同じです。
どんなに調べて対策を練ったところで素人判断の域を脱することができないのです。
共に作品を創る仲間、応援して下さる皆様に1%でも危険が及ぶ可能性があってはいけない。
出演者や来場者の今しかない時間…
失うものはあれど、ぼくはこの団体の代表として、
どうしても今我々が多くの犠牲を払っても上演するだけの理由が見つかりませんでした。
それが一点。
次に圧倒的準備不足が挙げられます。
本来この作品は4月から稽古を始める予定でした。
緊急事態宣言中は施設が使えないので、上演できるとしても稽古ができるのは6月からです。
その時点で2ヶ月のロス。
そこから急ピッチで作り出される舞台など『ただ上演することだけが目的の作品』です。
どれほど頑張ったところで二ヶ月稽古をしていなかったという事実は取り返すことができません。
それで完成した作品は、ぼくが描いていた「小さな怪物」ではありません。
この「小さな怪物」は自信作です。
こんな不本意な形で消耗されるべき作品ではないと判断しました。
最後に一点。
我々出演者の経済事情です。
営業自粛の影響で仕事がなくなり、収入が減った出演者が殆どです。
10万の給付金は家賃と光熱費を払って残りは食費に消えます。
そもそもこの「小さな怪物」規模の公演では全公演満席でも赤字です。
団体としては大きな黒字でも出演者の交通費や、稽古に当てていた時間(本来バイトをしていた時間)を取り戻せるほどのギャラは出せません。
それでも芝居をやりたいと思うクレイジーな思考の持ち主が役者なのですが、コロナで困窮した皆の生活を更に圧迫してまで舞台をやろうとはぼくには思えませんでした。
- 6月に演劇活動が再開している可能性が低い。
- 圧倒的準備不足
- 経済事情
この三つの観点から、今回の公演中止を決断しました。
ご理解いただければ幸いです。
尚、今回の公演中止で我々トムランドは大きな赤字となります。
最善の選択をしているので後悔はありませんが、現実的に「落ち着いたらすぐに公演を打つ」のは不可能です。
そういう意味でも「延期」ではなく「中止」とさせていただきました。
冒頭の繰り返しになりますが、既に先行チケットをお持ちの方は個別に払い戻しの連絡をさせていただきますので、しばしお待ち下さい。
また、ここからは個人的な話になりますが、ぼくは這い上がるつもりです。
来年、もしくは再来年になるか未定ですが、必ずこの「小さな怪物」及び他作品を上演します。
その為に今はしっかりチカラを蓄えます。
皆様におかれましては、
無事にこの未曾有の事態を乗り越えられることをお祈りしています。
公演中止、ごめんなさい。
去年からずっと温めてきた作品。とても悔しいです。
また笑顔でお会いしましょう。
小野哲平