こんにちは、小野哲平です。
出演だけでなく、自分で舞台も手掛けているぼくですが実は観劇には積極的ではなく、誘われた舞台にもほとんど足を運びません。
もちろん他の用事と重なってる場合もあるのですがそもそもぼくの中で「観劇」の優先順位が高くないです。
小劇場はほとんど行かないです
その理由は色々あるのですが端的に言えば
「つまらなければ腹立つし、面白ければ悔しいから」
これに集約されます。ある有名俳優さんが同じ理由で一切舞台に足を運ばないというのを
インタビューで読んだことがあります。
突き詰めると↑なのですが、今日はそれ以外の理由についても細かく書いていきます。
分かる分かる~!と共感してくださる方がひとりでもいたら嬉しいです。
「役者=観劇好き」ではない
まず前提として「役者であること=観劇が好き」は必ずしも成立しないことを説明します。
単純にスポーツに置き換えていただけると理解が早いのですが、
プロ野球選手がずっと他のプロの試合観てますか??って話です。
それよりもトレーニングしますよね。
無論自身の向上の為に参考になる部分はその都度映像で確認して吸収します。
前述しましたが、一流の役者でも「人の舞台や作品は観ない」という方はいます。
演劇だけを観てると演劇脳になります。
映画や漫画、小説やスポーツ、ドキュメンタリー、日常で触れるあらゆるものに役者や脚本家としてのヒントは溢れています。
なので「お前役者なのに舞台観ないの!?」という疑問はこの時点で消去してくれると有り難いです。
以前は観てた
「観劇はあまりしない」とは言え最初から敬遠してたわけではなく、学生時代は頻繁に舞台を観てました。
「役者になりたいなら沢山舞台を観た方がいい」と先輩に教えてもらったぼくは言われるがままに沢山観ました。
知り合った役者に誘われたらほとんど観てましたし、バイトで稼いだお金もチケット代に消え去っていました。
それがぱったりと観なくなったのはここ5年くらいです。
いや、ぱったりは語弊がありますね。
ちゃんと選んで観るようになりました。
無視無視♪
以下、理由について述べていきます。
お尻の痛みに耐えられない
数ある理由の中でダントツで王者に君臨している「行かない理由」が「お尻の痛みに耐えられない」です。
ずっと同じ体勢のまま座ってることが不可能です。
映画館のようにフカフカの椅子ならなんとか二時間保てますが小劇場のパイプ椅子なんて開始30分で痛くなります。
座布団敷いても同じ、遅かれ早かれの問題です。
本当に痛いので周りの人がずっと座ってられるのを見てずっと疑問でした。
どうして耐えられるんだろう、と。
おそらくぼくは痩せてるのでお尻の肉が人より薄いのかと思います。椅子が骨に当たります。
すぐ痛くなります…
そして痛くなったら無理です。
「早く終わってくれ…」しか思えません。
少しずつ痛くなって耐えきれなくなってきたら可動出来る範囲で何度も体勢を変えて、最終的にはお尻の下に手を挟んで鑑賞してます。手が痺れますが仕方ないです。
本当に痛いんです(切実)
何度も体勢変えるので隣の人や後ろの人に迷惑掛かるし何より本気で痛いのでツラいです。
何かで治るなら治したいくらいです。
アクションやダンスなど物理的に人が動いてるシーンが多い舞台なら気が紛れるし、会話劇でもテンポが良いものは大丈夫なのですがテンポが悪い舞台だと無理です。
痛さが芝居に勝ります。
厚みのあるマイ座布団持って行けばいい、という意見もあると思いますが、それよりは痛みを回避する(行かない)方を優先します。
でも良い携帯座布団知ってる人がいたら教えてください。買います。
教えてください!!!
面白くない
次の理由はもっとハッキリしてます。
「面白いと思えない」。
はい、面白くないから行かないです。
昔、芝居を始めた頃は何の舞台を見ても面白く感じたのですが歌舞伎付き人を経て、世界に通ずるパフォーマンスを間近で見てきたあとでは良くも悪くも感性がまるっと変わってしまいました。
ぼくのプロフィールはこちらから!
ぼくが上から目線とかそういう次元の話ではなくて、単純に面白いと思えないという話です。
当然、ぼくが面白いと思えないモノを面白いと思う人がいることは否定しないので、だったらそれを面白いと思う人が楽しめばいいと思っています。
ぼくが行く必要はない
みんな笑ってるのにぼくは笑ってなかったりするので逆に申し訳ないです。
感想が言いづらい&客出しが苦手
小劇場あるあるですね。
役者を続けていると役者の知り合いが自然に増えていきます。
それに付随して舞台の告知も沢山届きます。
東京なら毎日どこかで舞台をやってるので、知り合いも誰かしら舞台に立っています。
なので舞台の告知も毎週届きます。
でも知り合いが出てると…正直な感想言いづらいんですよね。
終演後の客出しで「どうでした!?」なんてやりきった笑顔で言われると「ごめん!超つまらなかった!!」って言えないんですよ。
さすがにぼくもそこまで鬼じゃないので。
というか客出しが苦手です。
特に普段全く連絡取らなくて交流ない知り合いだとぶっちゃけ話すことないです。
お互い話すことないのに来てくれたから「ありがとう!」だけで済ませたらいけない空気感。
ぼくは作品観に来ただけなので無駄に話す必要はないと思ってて、個人的には一言「ありがとうございました!」と言ってくれるだけで大丈夫です。
そんな感じで客出しが苦手なのでいつも終わったらサーっと帰ります。
内輪での盛り上がりにドン引く
これも小劇場あるあるです。
小劇場は演者も観客も小劇場関係者であることがとても多いです。
チケットノルマがあると互いの舞台のチケットを購入する運命共同体みたいな関係の方が沢山います。
でもそれはいいんです。
ぼくがとっても嫌なのは、
- 開場中に場内スタッフと観客が知り合いでずっと話してる
- 終演後、一般の客を差し置いて役者仲間で盛り上がってる
この辺です。
別に一般客への対応が無礼なわけではないのですが、自分が転校生みたいな気持ちになります。
同じチケット代払ってるのにどうしてこんなアウェイな思いしなきゃいけないんだ!
始まる前に不快な思いさせたらあかんで!
あと嫌なのは上演中に関係者だけ笑ってるやつ。
あいつまたこんなことやってるよ~的な笑い。
もう無理。そういうのマジでいらない。途中で帰らせてくれって思います。
値段が高い
単純に舞台ってチケットが高いですよね。
いや、規模が大きければまだいいんですよ。
大きい劇場(良い椅子)で憧れの役者を間近で見て、舞台装置も仕掛けも凄いなら何の問題もないです。
当然提示された金額を払います。
それくらいお金が掛かってるのが分かるから。
ぼくは疑問に思うのは
なんでこの舞台こんな高いの?
って作品です。
普段3000円とかの作品を上演してる劇場なのに5500円とか、キャパ100人くらいなのに前列2列をS席とかにして7000円にするとか。
まぁアイドル(というか若い女の子)が出演してる舞台がほとんどなんですけど。
これって完全にファンイベントですよね。
ぼくが芝居を始めたときは有名劇団でも劇場に応じてチケットを妥当な金額にしてたような気がします。
少なくとも今みたいに小劇場で7000円とか完全にお金の匂いしかしない公演はありませんでした。
ビジネスの形は無限にあるし勝手にやってくれればいいんですけど、たぶんそれは演劇ではなくてアイドル舞台です。
同じフィールドではないよ
集客のことしか考えていない
「チケットノルマが厳しいので助けてくれませんか!?」
知り合いの女優(のような素人)から実際に来たメール。
要するに舞台を観に来て下さい!ってことなんですけど、
まず思ったのが「ノルマ厳しいなら出るなよ」です。
ハッキリ書きますけど、女の子がいっぱい出るような舞台は、
チケット代高くしてダブルキャストにして、物販充実させて、
観客一人から得られる金額を最大にするビジネスです。
それで出演者へのチケットノルマも厳しくすれば、興行主はウハウハなわけです。
ぼくも実際にアイドル舞台を手掛けてる人にそう教わりました。
何度も同じ事書きますが、そのビジネス自体はいいんです。
観客が満足してるなら問題はありません。好きにやってください。
ただ、巻き込むな。
ぼくも以前は優しかったのでこういう舞台にも足を運んでいました。
でもまぁ、ヒドいもんですよ。
台詞は出てこない。ずっと棒読み。あってないようなストーリー。
ちゃんと演技練習を受けた子が出るわけじゃないので何を見せられているのか分からないレベルです。
隣に座ってたおっさんは芝居中は寝てましたが、終演後に出演者が直接手売りする物販は颯爽と並んでました。
出演者はチケットを売ることしか考えていないので(ノルマがあるのでそういう思考になってしまう)、自分の芝居を向上させることに注力していません。
そしてそういう子はまた同じような舞台に出るのでいつまでも演技が出来ないまま、年齢だけ重ねていきます。
闇ですね
何にせよ集客しか考えていない舞台は行かないです。
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隣の席が博打
舞台も映画も近くに座ってる知らない人が非常識な人だったら簡単にすべて壊れます。
しかもそれを選べない。ガチャです。
1900円の映画だろうが16000円の歌舞伎だろうが、隣に座る人の人間性については完全に博打。
おかしな人が近くに座ることは滅多にないですが、可能性がゼロとは言い切れません。
ぼくはそれが怖いです。
リスクを抱えて観劇することの恐怖がときどき観劇そのもののワクワクより勝ってしまう場合があります。
観劇マナーについては以下の記事に詳しく書いてます。
関連記事観劇マナーを守れない人は舞台を観てはいけない。良い舞台が観たければ良い客になろう。
行きたいのは勝手に行く
と、行かない理由を長々列挙してきましたが、別に「行かない」を自分に義務付けているわけではなく行くときは普通に行きます。
ポイントは勝手に行く、です。
そんなに仲良い知り合いじゃなくても、行きたいと思ったら勝手にチケット取って行くし、凄く仲良しの役者でも行きたくなければいきません。
トムランドメンバーの舞台も行ったり行かなかったりです
好きな人が行けばいい
極論舞台は「観たいと思ってる人が自主的に足を運べばいい芸術」だと確信しています。
何当たり前のこと言ってるの?って思うかも知れませんが、それが真理です。
演劇ってそもそもがおこがましい芸術だとぼくは思っていて、
わざわざ特定の場所に足を運ばせてお金(交通費&チケット代)を使わせて、上演時間分拘束するシステムです。
だからこそそれを上回るモノを提供しなきゃいけないと日々、作り手として強く自分に言い聞かせています。
それはスタッフの対応ひとつであったり、場内の清掃だったり終演後の挨拶であったり作品以外にも考えることは無限にあります。
作品が良いのはもはや最低条件です。
1900円でプロ中のプロの芝居がスクリーンで見られるこの時代に、その倍以上のお金を払って何の覚悟もないモノを観なきゃいけない理由など存在しません。
だからこそ、好きな人が足を運べばいいんです。
ぼくも観たいモノは自主的に足を運びます。
ただそのハードルは極めて高いです。
自分が本当に観たいと思ったモノしか行きません。
それで一度行って嫌な思いをしたら、その人や団体が関わってる作品は敬遠します。
それが普通です。
「YouTubeで見れるから見て!」ではなく「この時間にここに来て」という媒体はそのくらいハードルが高いモノであるべきです。
それに加えて何でもかんでも足を運ぶと「呼べば来る人」みたいな扱いされて次々に宣伝くるので困りますし…。
小劇場の世界はいつでも客の取り合いです。
公演を成功させるには集客は必須条件ですが、まずは何を持って演劇という媒体で自分を表現しようと思ったのか、その覚悟や決意が伝わる舞台に今後も足を運ぼうと思います。
お尻も痛くなるので…