こんにちは、小野哲平です。
今日は2018年12月30日にNHK eテレで放送された新橋演舞場公演「オセロー」のカットシーンを出演者であるぼくが説明します。
結構カットされてましたね…
カットされた時間
放送時間が3時間。
実際に上演していたときの上演時間が休憩込みで約4時間。
一幕から二幕への休憩が15分、二幕から三幕への休憩が30分。
240分(4時間)ー45分(15+30)で純粋な上演時間は(計算上)195分でした。
つまり3時間15分。
放送時間が3時間だとして15分カットしなければいけません。
15分は大きいぜ…
それに加えて放送時には役者のインタビューが付きます。
オンエア開始時間に幕が上がるわけではありません。
なのでもうちょい削らないとですね。
ではどこが削られたのか。
それを詳しく紐解いていきましょう。
カットされていたシーン
- 一幕二場から三場への転換~三幕の芝居冒頭
- 二幕二場伝令オールカット
- 二幕三場宴会部分
- 三幕一場、二幕四場からの繰り返し部分
- 三幕三場イアーゴーとロダリーゴー最後の会話
ぼくが一度見た限りだと上記のシーンがカットされていました。
○幕○場と言われてもピンとこない方が多いと思うので、
ひとつずつ触れていきます。
一幕二場から三場への転換~三幕の芝居冒頭
元老院への大規模な舞台転換がカットされていました。
本来なら棺女がオセローたちを通り過ぎたら、上手下手のセットが下がり、それぞれのゴンドラが後方に消えて、元老院のセットが登場します。
少し時間が掛かる転換なので、映像ならカット候補になるかなと。
見応えは十分なんですけどね
そして、前にみどころで書かせていただいたゴンドラの謎。
その答えはこの転換でしか発見できないんです。
最前列付近にいた方は見えたんじゃないかな。
つまりこの転換がカットされていたことで、
今回の放送からゴンドラの仕組みを発見することは不可能になりました。
まじっすか
全然わからないっす
ふふふ
そのまま元老院の冒頭の芝居もカットされてました。
転換カットするならついでにもう少し削っちゃおうってことですね。
そのシーンでしか台詞がない役者もいたので残念ですが色んな箇所ブツ切りにするよりは全然アリです。
二幕二場伝令オールカット
個人的にここは残念。
怪物俳優・河内大和さんの独壇場でした。
知らない方の為に説明すると、二幕でキプロス島にオセローがやってきて、宴の準備だー!と皆がいなくなったあとで伝令に扮した河内さんがお達しを読み上げるんです。
一人だけの長台詞です。
これが稽古場から皆好きなシーン。
河内さんの声量がすさまじい。
映像で見たかったなー。残念!!
二幕三場宴会部分
えぇーここカットしちゃうんだ!!!!!
いや、分かりますよ。分かりますけど。
みんな振り付けしてもらって、
一番盛り上がるシーンなのに…。
河内さんの伝令の最後の台詞「神の祝福あれ!」から、
一気に明かりがついて皆が、
テンションMAXで盛り上げるところが見たかった!!
皆さんも見たかったですよね?
ぼくが客席から一番見たかったシーンがカットされてました…。
いや、分かりますよ。分かりますけどね…。
三幕一場、二幕四場からの繰り返し部分
ここはまぁ、カットしますよね。
映像じゃ休憩ないし、完全に同じシーンの繰り返しだし。
それが終わってからデズデモーナの登場。
映像ではいきなりデズデモーナが登場してました。
三幕三場イアーゴーとロダリーゴー最後の会話
ここをカットするのは苦渋の選択だったんじゃないかな。
三幕二場でオセローがデズデモーナを叩いたり、その次の場で涙を流したりするのを見て、イアーゴーが罪を感じて苦しみ始めます。
映像だとその苦悶の表情が完璧に映し出されてましたね。
それで叫ぶじゃないですか。
「うわぁぁぁぁー」って。
本来ならそのあとにロダリーゴーが現れるんです。
もう君には付き合いきれないよと怒ります。
イアーゴーはこれまたそんなロダリーゴーを言葉巧みに丸め込んでキャシオーを殺せと言います。
ここがイアーゴーが修羅の道に落ちるポイントです。
で、三幕五場。
皆さんちゃんと見ましたよね?
ロダリーゴーを始末する直前、
キャシオーを介抱していたイアーゴーの、
悪魔のような顔。
ちゃんとカメラが押さえてましたよ!
見流した方はもう一度見よう。
再生してから2時間15分です(メモりました)
この表情に繋がる為には、
ロダリーゴーとの最後の会話を見る必要があったとぼくは思います。
だからここに関しては劇場での思い出で補ってください。
カットシーンは以上です。
十分楽しめた
あとはトリプルだったカーテンコールが一度だけの時間で放送されたのでトータルで15分くらいカットできたのかと。
カットされてる箇所はいくつかありましたが、
それでも映像だけで十分成立する作品になっていました。
ぼくの名前もしっかりクレジットされてました。
NHKさんありがとうございます~!
舞台装置も衣装も綺麗。
そして舞台じゃ見れない役者の表情。
劇場に行けなかった方も、劇場に足を運んだ方も、
それぞれ違う楽しみ方ができた放送だったと思います。
何度か繰り返し見る方は役者の細かい心情の変化を、
楽しむのもアリですよ。
でもね!
映像でも楽しめるけど、
本当はもっともっと楽しいシーンがあったんだぜ!!
ということが広がれば嬉しいです!!
では、また。
オセロー最高!!!!