こんにちは、小野哲平です。
たまには映画についてトコトン書いてみます。
今日トコトン書きたい映画は
アメリカンビューティー!!!
もう言わずと知れた超名作。
1999年に制作されたアメリカの映画で、
第72回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞・撮影賞の5部門を受賞しています。
が、そんなことはどうでもいい。
この超絶素晴らしい名作を知ってる人は、
これを読んで全て思い出すように、知らない人はまるで見た気になれるかの如く、
記事を書きます。
ちなみにネタバレ満載です!
それではいってみましょう!!
どんな話なの?
一言で説明すると平凡な家族が崩壊していく話です。
しかしその崩壊に至る経緯が秀逸で、奇跡の脚本と呼ばざるを得ません。
ぼくがこれを今書いているのは、この脚本の凄さを忘れない為です。
超簡単あらすじ説明
妻からも娘からもテキトーに扱われていた平凡な男性が、娘の友人の美少女に一目惚れ。
「筋肉つけたら最高のパパね」という美少女の言葉を聞いて舞い上がります。
そこから平凡な男性は変わります。
筋トレをしたり、リストラされそうだった会社をズバっとやめたり、生き生きした人生を過ごすようになります。
その全ては娘の友人を抱くため!!
と、ここまで読むとコメディチックな作品なのですが、それはお父さんサイドの話。
次で詳しく説明します。
とにかく脚本構成が素晴らしいです。
同時に進む別の物語
本編の主なストーリーは↑の通りです。
ですが、それと同時に他の主要人物たちの物語も平行して、そして色濃く進んでいきます。
役名だとわかりづらいので、分かりやすく言い換えます。
- 主人公(レスター) → お父さん
- その妻(キャロリン) → お母さん
- その娘(ジェーン) → 娘
- その友人(アンジェラ) → 美少女
- 隣人(リッキー) → 変人
- 隣人の父(フランク) → 大佐
覚えましたか?
では物語を順に追っていきましょう。
ラストまであらすじ
この作品は三幕構成になっています。
全ての幕の冒頭でお父さんのナレーションが入るので、とても分かりやすいです。
一幕
お父さんはお母さんと娘から人生の敗北者のように見られています。
家庭環境も悪く家では喧嘩がよく起きていました。
そんなある日、娘とお父さんの仲を取り持ちたいお母さんは、お父さんを娘のダンス発表会に連れていきます。
そこでお父さんは娘の友人、美少女にマジ惚れします。
このマジ惚れ描写が最高です。
全員のダンスシーンから美少女とお父さんだけの空間になり、一目惚れを強烈に演出してくれます。
そして美少女は可愛いです。
美少女にデレデレになってるお父さんを見て、娘は「マジ無理、キモ。」とますますお父さんを嫌いになります。
そんなお父さん宅の隣に引っ越してきたのは大佐ファミリー。
大佐はその名通り元軍人でムキムキです。
その大佐の息子が変人。
帰宅してきた娘を普通に盗撮してるサイコ野郎です。
でもそのサイコ野郎に盗撮されることが嫌でない娘。
なぜなら娘はいつも美少女からモテモテ話を延々聞かされているので、男性が自分に興味を持ってくれたことが嬉しかったのです。
大佐は厳格な男でゲイが大嫌い。
近くに住むゲイカップルが挨拶に来ても相手にしません。
そして息子である変人に「ゲイなんてクズだ」と教え込みます。
そんな変人は実は薬の売人で(なんてヤツだ!)、ひょんなことからお父さんと知り合い薬を売るようになります。
そんなある日、お父さん宅に美少女が遊びに来ます。
美少女と娘の会話を盗み聞きしたお父さんは「筋肉をつけたら最高のパパね」という美少女の声を聞いて、目の色が変わるのでした。
すぐに筋トレを始めるお父さん。
その様子を隣に住む変人が盗撮していました。
二幕
美少女を抱くためにランニングと筋トレを始めるお父さん。
上司を強請って会社を辞め、多額の退職金を手にします。
そんなお父さんを尻目にお母さんは不倫を始めます。
そして最初は盗撮だったけど、積極的にアピールする変人のことが気になる娘。
二人はいつしか恋仲になります。
変人の部屋で変人が過去に撮影した映像を見ます。
全ての物の背後には生命と慈愛があって、何も恐れることはない
変人は現代社会の価値観とは別の位置にいます。
そんな変人にますます惹かれていく娘。
三幕
お父さんはハンバーガー屋でバイトを始めました。
そこに現れたのはお母さんと不倫相手。
お父さんは怒ることなく「二度と自分に指図するな」と、言い放ちます。
そして別れることになるお母さんと不倫相手。
一方そのころ。
大佐が、お父さんと変人がゲイなのではと疑います。
二人でいるところを見てしまったからです。
もちろんそれには理由があって、お父さんは変人から薬を買っているだけでした。
大佐が変人の部屋に忍び込み、ビデオを再生すると、筋トレしてるお父さんの映像が…。
自分の息子がゲイだと知った大佐は怒り狂って、変人をボコボコにします。
絶えられず家を飛び出す変人。
お父さん宅に現れ、娘に一緒に暮らそうと言うのでした。
ちょうどそのとき娘と一緒にいたのが美少女。
友達がサイコ野郎に連れていかれそうになるのを止めます。
でも娘は変人が好きなので、美少女の言うことを聞きません。
そこで初めて口論になる娘と美少女。
娘が普段我慢していたことを美少女にぶつけます。
ショックを受けた美少女は部屋を飛び出します。
一方その頃、筋トレ中のお父さんの前に現れたのは大佐。
憔悴しきってる大佐を心配するお父さん。
優しくされた大佐はお父さんの腰に手を回し、そのままキスをするのでした。
お前がゲイだったのかよ!!!!!!!
この映画一番のビックリシーンです。
お父さんに断られて自宅へ消える大佐。
その頃、不倫相手と別れて絶望してるお母さんは、拳銃を持って自宅へと車を走らせていました。
いきなりキスされて意味分からないお父さんが部屋に入ると、そこには娘と喧嘩した美少女が一人でいました。
傷付いた美少女を慰め、心を許した美少女をそのまま抱こうとするお父さんでしたが、
そこでまさかの美少女、処女宣言。
今までのモテモテ話は全部ウソだったのです。
一気に夢から冷めたお父さんは、美少女を抱かずに娘の話を聞きます。
そしてお父さんは父親としての自覚を取り戻します。
美少女がトイレに行き、ひとり部屋に残ったお父さんは、家族の写真を眺めます。
そこには若いお父さん、お母さん、そして幼い娘がいました。
そこで銃声。
お父さんは幸せだった自分の人生を、振り返りながら幸せそうに息を引き取りました。
撃ったのは、自分がゲイであることがバレた大佐です。
感想
人生ってすげぇぇぇーと考えさせられました。
↑のあらすじだけじゃまとめきれない細かい演出が沢山あって、物語の深さと人生への愛おしさに感涙しました。
娘の同級生に惚れて若返るお父さん。
そんなお父さんをどこかでやっぱり愛してるお母さん。
家を飛び出したい娘。
あらゆる価値観と別世界にいる変人。
特別な存在になりたいが、平凡だった美少女。
自身が最も嫌うゲイであることを認められない大佐。
その主要6人の人生や哲学が交錯する物語は、とても素晴らしく美しいです。
アマプラで見れますよ~