こんにちは、小野哲平です。
新橋演舞場で新派特別公演「犬神家の一族」を見て来ました。
そうです、
池から足が二本飛び出してるシーンでお馴染み、あの犬神家です。
その衝撃的なシーンだけ一人歩きして、
映画のタイトルを知らない人多いと思いますが、
あれは映画「犬神家の一族」のワンシーンなので、知らない人は覚えましょう。
今回はその舞台版。
二ヶ月前までぼくが立っていた新橋演舞場です。
やって来ました新橋演舞場。オセローの千穐楽以来です。あのときオセローがどう見えていたのか、犬神家を見ることで繋がると思います。楽しみ! https://t.co/qFvlBy2k8y
これから始まる悲しい事件を予感させる有名なメロディ含め、
終始全編に漂う怪しげな音楽。
当然主役は金田一耕介ですが良い意味で作品の中心にはいません。
それぞれのシーンを担当している役者が、
しっかりと役割を務め次に控える役者へ渡す。
その役者同士のバトンパスが実に素晴らしいです。
会話劇なのに各々のキャラが立ってるので飽きることなく話が進みます。
この犬神家、そもそもストーリーが面白い。
財産を争う人間ドラマというのはどうにも面白い。
昭和22年、那須湖畔の本宅にて一代で犬神財閥を築いた犬神佐兵衛が莫大な財産を残し、家族に見守られながら他界した。その遺産の配当や相続者を記した遺言状は、長女・松子の一人息子・佐清が戦地から復員してから発表されることになっており、一族は佐清の帰りを待つことに。佐兵衛は生涯に渡って正妻を持たず、それぞれ母親の違う娘が3人、皆が婿養子をとり、さらにそれぞれに息子が1人ずついたが、対立し合っていた。
犬神松子を演じる新派の大女優、
波乃久里子さんが言葉を発する度に、場内がピリリと静粛な空気になり、
客席の誰もがその次に久里子さんが発する言葉を待っていました。
これはもはや芸ではありません、
無数の舞台で培った存在感が成せる現象です。
最初に紹介した足が浮いてるシーンもありますよ!
オセローで共演した友人、河合宥季さんが務めている野々宮珠世は、
2006年映画版では松嶋菜々子が務めていた重要な役。
いわば作品のヒロインです。
そのヒロインをゲストではなく新派内、
しかも女方(ダブルキャストではありますが)で上演することにこの作品への対する挑戦、
そして河合宥季に対する松竹の期待を感じました。
洗練された芸達者な面々の中で、
負けず劣らず輝きを見せていたのは浜中文一さん。
勉強不足で知らなかったのですが、ジャニーズの方なんですね。
オセローの神山くんといい、ジャニーズは凄い人ばっか…。
正直有名過ぎる作品ですが、
あらすじを知らずとも内容が理解できるよう丁寧に作られています!
2017年の黒蜥蜴も面白かったですし、
新派×ミステリーは当たり作品を量産できそうな気がします。
殺人の目的が実は、
財産(金)だけでなく愛だったと明らかになる終盤、
とても悲しく、本当に素晴らしい舞台でした!