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歌舞伎役者働き過ぎ問題。そろそろ真剣に考えませんか。

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歌舞伎

こんにちは、小野哲平です。

今日は歌舞伎役者の重労働問題について。

以前も海老蔵さんが自身のブログで「働き方改革」と題し、歌舞伎の興行体制への訴えを書いていました。

歌舞伎の公演は
皆さまが思われている以上に
重労働です。
毎日休みなく昼夜公演があるのが
正常という昨今です。
(中略)
風邪ひいていようと声が出なくても具合悪くても
場合によっては
歯医者さんや病院も行けない月が数カ月続くこともある、
これは良くない
そんな環境に自分なら耐えられても
次の世代
次の次の世代に引きずる事は果たしてどうなのか?
歌舞伎役者…忙しそうなのは知ってるけど、実際問題そんなに詳しくは知りませんよね?
そこで今日は歌舞伎役者がどれだけ忙しいのかをぼくが分かる範囲で説明します。
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ここが凄いよ歌舞伎役者

はっきり書くとテレビ番組やCMでの露出が少ない歌舞伎役者は一般的に存在を知られてないです。

しかし断言します。歌舞伎役者は忙しいです。

テレビタレントなどは「あまり見掛けない=暇してる」が成立するかもですが歌舞伎役者は成立しません。

ずーっと働いてます。

何をしているのか??

当然、歌舞伎です。

まさしく一年中歌舞伎をしてるんです。

歌舞伎役者は一年中歌舞伎をしている。

休演日がないのが普通

こちらのチラシをご覧下さい。

今年の六月の歌舞伎座のチラシです。三谷幸喜さんの演目で話題になりました。

歌舞伎座は基本的に25日間連続興行で休演日はありません(一部例外あり)。

25日間1日も休みがないです。土曜も日曜も関係ありません。

そしてこの月の幸四郎さんに注目。

夜の三谷幸喜さんの演目以外にも昼の序幕に出演しています。

ここで上演時間を確認。

夜の部の終演が8時12分です。それから帰り支度をして帰宅。

そして翌日11時にはまた舞台に立っています。

11時から仕事、と言っても会社員とは違うので就業の少し前に来れば大丈夫なんてことはありません。

化粧をして衣装に身を包む時間も考慮して歌舞伎座に向かわないといけません。

これが25日間です。

このスケジュールを休演日なしでこなすことが歌舞伎役者の日常なのです。

通常の俳優ならひとつの作品に一か月稽古して一か月本番を迎えます。

それも休演日ありで。

しかし歌舞伎役者は1日に複数の作品に出演するのが普通なのす。

歌舞伎役者は1日の複数の演目に出演する。25日間休みがない。
これが通常である。

海老蔵さんはどうだったの?

記憶に新しい方も多いと思いますが市川海老蔵さんが7月の歌舞伎座公演途中でノドを痛めて、声が出なくなったため3日間休演しました。

このときの海老蔵さんのスケジュールを見てみましょう。

この月の目玉は夜の部での海老蔵さんの13役早替わりでした。

しかしそれだけではありません。

昼の部三本目の素襖落(すおうおとし)から海老蔵さんはずっと舞台に出続けていました。

素襖落、外郎売りと続いて夜の部。

13役早替わりです。

上演時間はこちら。

昼の1時41分の素襖落から幕切れの9時28分まで働き詰めです。

それでいて25日連続興行。

海老蔵さんの提案により昼だけの日、夜だけの日は設けられていますが完全なる休演日はありません。

このスケジュールで常に万全の体調でいろというのはブラック企業どころの騒ぎではありません。

一般人には不可能です。

歌舞伎役者のスケジュールは常人の想像を遙かに超えている。

本番期間中に来月の稽古!?

ここで歌舞伎のスケジュールの話に戻りますが、

歌舞伎役者は基本的に一ヶ月単位で仕事をしています。

それは歌舞伎が25日興行、ほぼ一か月で千穐楽になるからです。

例えば

一月 歌舞伎座

二月 歌舞伎座

三月 南座

といった具合のスケジュールです。

ここで知ってほしいのは一か月で演目が変わるということはまた新たに稽古をしなければいけないということです。

↑の例で説明すると一月の歌舞伎座の千穐楽が一月二十六日。

二月の初日は二月二日です。

27.28.29.30.31.1

千穐楽の翌日からおよそ六日でまた新たな興行が始まります。

おのぺー
おのぺー

えぇ!?休みないじゃん!

休みはおろかその間に二月の演目を上演できる段階にしなければいけません。

台詞や動き、覚えることは山ほどあります。

しかしながらそれを六日間で覚えるのは困難です。

と、なるとどうなるか??

一月の本番中に二月の演目の勉強を始めるのです。

これ、とんでもないことですよ。

ひとつの舞台やりながら別の舞台の台詞覚えるんですから。

それも複数の演目に出演していたらその本数勉強しなければいけません。

ぼくが付き人をしている頃の芝翫さんは中日(公演の半分)を過ぎたら来月の勉強をしていました。自分の出番がない休憩時間に勉強をして、出番になればそのまま舞台に上がってました。超人です。
尚、復活狂言など上演が難しい演目(普段よく上演されてないもの)の場合、興行が終わってからの深夜稽古もありました。
歌舞伎役者は本番中に来月の勉強をしている。
ご存知ですか?歌舞伎の付人(付き人)とお弟子さんの違いとは。
歌舞伎の世界における「付き人」と「お弟子さん」の違いを書きました。

縮まる寿命

じゃあその生活がいつまで続くのか、というと、

歌舞伎役者である限りです。

死ぬまで、と言っても過言ではありません。

歌舞伎は衣装も重たいし、演目によってはキツい体勢をキープしなければいけないものもあります。

激しい立ち回りの演目もあるし、月によっては早替わりばっかで休む暇がないときもあります。

歌舞伎の醍醐味「早拵え」は幕間にもありますよ。
次から次に衣装が替わる「早拵え」は演目中だけではなくて演目と演目の間にもあることを書きました。

え…そんなことずっとやってたら死んじゃうよ

そう思いませんか??

歌舞伎役者の方は小さい頃から歌舞伎に慣れ親しんできてるので、それが普通だと思っているのかも知れません。もしくは変えられないしきたりと覚悟しているのかも知れません。

ただこの勤務状況は異常です。

歌舞伎役者も職業のひとつと考えるのであれば、これは絶対におかしいとぼくは考えます。

本人たちが気付かないなら周り(松竹)がサポートすべきです。

歌舞伎に限らず、過酷な労働は寿命を縮める。歌舞伎は過酷である。

歌舞伎はお金が掛かる

それじゃ上演日を減らせばいいのでは、と思うのですが、

そもそもどうしてこんな殺人的スケジュールが組まれているのかを考えるのも大切かと思います。

上演回数が増えれば集客人数は増えます。集客人数が増えれば自ずと収益が増えます

やはりそこなのでしょうか。

歌舞伎は、衣装や鳴物、舞台装置など一般の商業演劇が到底太刀打ちできないほどお金が掛かっています。

詳しい金銭事情までは調べられませんが、普通に考えて異常な労働条件を松竹株式会社という大手企業が是正しないのは、興行日数を減らすと収益に影響するから、としか考えられません。

しかしながら以前も書きましたが現状お弟子さんの給料は信じられないくらい低額です。

それが理由で廃業する人があとを絶たないくらいです。

興行日数を減らすことでお弟子さんが更に薄給になる可能性を考えると何もかもが一概に言えなくなってしまうのも事実です。

歌舞伎役者の廃業問題について。このままだと歌舞伎なくなりますよ。
歌舞伎役者が次々に廃業しているニュースを受けて、ずっと問題視されていた歌舞伎役者の薄給問題について書きました。歌舞伎を愛する人にこの現状を知ってもらいたい。

テレビや映画は休みの月か合間を縫って出演

先ほど歌舞伎は一か月単位で行動することが通常と書きました。

つまり休みも一か月です。

おのぺー
おのぺー

マジか!ひゃっほーい!

と思うかも知れませんが、この休みというのはあくまでも、

歌舞伎興行に参加しない月である

という意味です。

つまりそれ以外の仕事はします。

映画やドラマに出演する歌舞伎役者は休みの月に撮影をする場合が多いです。

歌舞伎以外の商業演劇に出演する役者はこの休みの月がそのまま稽古期間に使われます。

ぼくが付き人をしていた2009年の芝翫さんのスケジュールはこうです。

  • 一月 国立劇場
  • 二月 歌舞伎座
  • 三月 京都でドラマ撮影
  • 四月 歌舞伎座
  • 五月 南座(京都)
  • 六月 博多座(福岡)
  • 七月 コクーン
  • 八月 歌舞伎座
  • 九月 平成中村座(名古屋)
  • 十月 御園座
  • 十一月 ドラマ2本撮影
  • 十二月 歌舞伎座

赤字の月は一応休みとされている月ですが、この月に映像の仕事をしていました。

すなわち一年間休みはありませんでした。

おのぺー
おのぺー

付き人のぼくもね

休みは一か月だが、その一か月はあくまでも歌舞伎に立たない月というだけ。

忙しいのは役者だけじゃない

ここまで読んだ時点で歌舞伎役者働き過ぎということが重々理解していただけたと思います。

しかし問題はまだあります。それは歌舞伎役者が忙しいと周りも忙しいということです。

幹部クラスの歌舞伎役者になると衣装さんも床山さんも専属です。

つまり同じ分だけ仕事が増えます。そしてお弟子さんも当然師匠の舞台・化粧周りのことをやらなければいけません。付き人もフル回転です。

歌舞伎役者が動けば一門全員が仕事です。休演日がなければ一か月休みはありません。

それは家庭があろうがなかろうが関係ありません。

師匠のスケジュールで一門全員と専属スタッフの仕事が決まる。

そろそろ真剣に見直しを

いくら好きでやってる仕事とは言え、ここまで忙しいのは重大な問題です。

その過酷さは日本一有名な歌舞伎役者・市川海老蔵さんが提唱するほどです。

勘三郎さん亡き今、歌舞伎ファンと一般人の隔たりを取り払ってくれている第一人者は海老蔵さんです。

海老蔵さんが倒れることは歌舞伎の終焉を意味します。

歌舞伎そのものは無くならないが、一部の人が楽しむ娯楽として残るのみ。

ワンピース歌舞伎やナルト歌舞伎は大変素晴らしい試みですが、事実として海老蔵さんが持つ爆発的知名度には及びません。

すでに歌舞伎界は幾つもの宝を失っています。

過酷な労働が直接の原因ではないにしろ、働き過ぎ・働かせすぎであることは一目瞭然です。

歌舞伎の未来を守る運営会社が歌舞伎の未来を奪っている現状、

あなたはどう思いますか??

このままだと歌舞伎はなくなる。

おまけ:公演回数の異常さ

参考までにコクーン歌舞伎について。

2008年に上演されたコクーン歌舞伎「夏祭浪花鑑」は20日間全30回公演

同じ年にコクーンで上演された商業演劇「どん底」は22日間全26回公演

今年上演される「アジアの女」は24日間全27回公演

一日辺りの上演回数は

  • 夏祭 1.5
  • どん底 1.18
  • アジアの女 1.12

この数字の意味が分かりますか??

「どん底」と「アジアの女」という従来の商業演劇が二日で2回しか上演してないのに対し、

コクーン歌舞伎「夏祭浪花鑑」は二日で3回上演しているというデータです。

もちろん歌舞伎を作るのにお金が掛かるのは分かります。

ただし舞台の上に立っているのは同じ人間です。

歌舞伎役者は死なないと考えているのであれば、その夢物語はとうに果てました。

関係者各位、そろそろ真剣に考えた方がいいのではないでしょうか。

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