こんにちは、小野哲平です。
今月(2019年5月)の中旬にZOZOTOWNの前澤社長のこんなツイートが話題になりました。
ZOZOバイト時給1300円に大幅アップで2000人採用します。発表されました。募集要項は後ほどアップします。 #ZOZOバイト改革 https://t.co/CHXvzDqXNu
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 (@yousuck2020) 2019年5月12日
時給1300円で2000人のアルバイトスタッフを採用!!
今日はこのZOZOTOWNの時給アップが仕掛けたアルバイト獲得競争とその結果として証明された「賃金上げれば人が集まる」という極めてシンプルな事実について書いていきます。
アルバイト2000人枠に応募が殺到
このバイトの勤務地は千葉県習志野と茨城県筑波。
勤務内容はZOZOTOWN(ゾゾタウン)で販売される商品の荷受・検品・採寸・棚入れ・ピッキング・発送・撮影補助などの軽作業業務。
時間区分は以下の通り
勤務時間
① 8:00~17:00(実働8時間)
② 9:00~18:00(実働8時間)
③ 9:00~16:00(実働6時間)
④ 9:00~17:00(実働7時間)
⑤ 17:00~22:00(実働5時間)
⑥ 17:00~23:00(実働6時間)
時給を上げても働ける時間が短いと意味を成さないのですが、しっかり8時間働ける区分になっていました。

社会保険も完備してるよ!
影響力と発信力を兼ね備えている前澤社長。
どれだけ人が集まるのか注目されていたこの募集ですが、蓋を開ければ応募が殺到、僅か3日で締め切りになりました。
昨日開始したZOZOバイト募集ですが、すでに2000名を超える皆様からのご応募をいただいており、大変急ではありますが、応募受付を明日の正午までとさせていただきます。応募いただいた方は基本的に全員面接させていただきます。https://t.co/yqpnUuhB3o
— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 (@yousuck2020) 2019年5月14日
人手不足じゃなかったの?
ここで思ったのは今って人手不足じゃなかったの?って件です。
問題視されてるコンビニ過酷労働もそもそもの根源は人手不足です。
実際に街を歩いていてもあちらこちらで求人の貼り紙を見掛けます。

どこも人手不足だ…
それが今回の応募では3日で締め切り。しかも2000人です。
それはひとえに前澤社長の影響力もありますが、その本質は時給の高さです。
平成30年に改定された各都道府県の最低賃金を調べてみると
茨城県 時給822円
この数字を見るだけでも如何に時給1300円が魅力的な数字なのかが分かります。
その魅力的な数字と大手企業であるという強みからZOZOTOWNは2000人もの人材を確保することができました。
低賃金労働者がいないだけ
人手不足が騒がれている中でZOZOTOWNが大人数の人材獲得に成功したことから導き出される結論は「人手不足」は「賃金を上げること」で解決するという極めてシンプルな話です。
つまり安いお金でコキ使える人材がいないだけであって、ちゃんとした条件なら働きたいという労働者は山ほどいるというわけです。
ぼくが住んでるのは東京ですが、街を歩いていても時給985円でバイトを募集している店がめっちゃくちゃあります。
ちなみに最低賃金で募集してる店が目立つのはこういうカラクリです。
→ 時給985円で募集してるから人が集まらない
→ 集まらないからいつまでも募集ポスターを剥がせない
→ 高い時給で募集してる店には人が集まるので募集ポスターを剥がせる
→ 結果的に街に貼られている募集ポスターは最低賃金(985円)で募集してるものだらけになる
でも時給1300円て高いの?
確かに最低賃金に比べて時給1300円は高いです。
比較上はそうですが、そもそも時給1300円という数字単独ではどうなのか考えた事がありますか?
時給1300円で8時間働くと10,400円/1日です。
月20日働いたとして208,000円/月、医療保険と年金を引いて手取りで18万くらいです。
それを12ヶ月。約216万円/年です。
一般的に年収300万以下は低所得者とされているので、時給1300円は低所得者コースです。
つまりお金の面だけで考えると、
低所得者になる仕事に応募が殺到したのが今回のケースです。
この部分だけでも今の日本の格差社会の現状が垣間見られます。
ですが、当然それ以下の時給では更に年収は低くなります。
とてもじゃないですがそれだけで暮らしていくのはほぼ不可能といっていいでしょう。

ぼくは暮らしてたけどね…毎日米だけ食べて…
大手と中小の取り合いになる
その金額が生活するレベルに値するかどうかはひとまず置いておいて、
他の仕事と比べると高い時給であることは明白です。
来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向けて、働き手を確保しようという企業の動きは一段と強まるとみられています。
そんな中での今回のZOZOTOWNの事例、この例をならって他の大手企業がこぞって時給を上げてくると予想されます。
でも中小企業だって働き手は欲しいです。正社員を雇うよりも非正規雇用でまかなう方が企業としては賃金の節約になるので、多くの企業がバイトを含む非正規雇用を求めています。
が、今回のように大手が時給を大幅にアップすると経営体力で負けている中小は人材競争に太刀打ちできるチカラがありません。
ですが先ほども述べたように時給が高い働き口は応募が殺到して狭き門となります。
その狭き門に入れなかった労働者は中小に流れます。
しかし中小は時給を上げるだけの自力がありません。
そうなるとどうなるのか。
まとめ:非正規雇用内での格差が広がっていく
結論はこうです。
(今まで問題視されていた)正規雇用・非正規雇用の貧富差だけでなく、
非正規雇用内での貧富格差が広がります。
だってそうですよね?
時給1000円のフリーターと時給1300円のフリーターだったら後者の方が豊かになるはずです。
ということは「貧富」の「貧」の部分内での格差が広がっていくわけです。
「貧」と「富」ではありません。「貧」と「貧」の話です。
金持ちと貧乏の話だった格差が更に小分けにされて、
貧乏世界の中で金持ちと貧乏が登場するという無限ループの世界に突入します。
もはや金持ちの世界なんておとぎ話です。
おまけ:少なくとも付加価値を
大手企業で働けないと時給が低くて終わりじゃん!
と思う方には少なくとも付加価値があるバイトを選ぶことを強くオススメします。
例えば飲食店。
飲食店はだいたい賄いが出ます。
日々の食費を節約できるなら時給が100~200円違っても結果としてトクをするかもしれません。
あとは人材を紹介すると紹介料がもらえたり、サイト経由でバイト面接に行くとお金がもらえたりするサイトもあります。
大事なのは同じ行動をするにしても付加価値をつけることを考えることです。
時給だけに注目しがちですが、あらゆる面を考えて職場を探すことが大切です。
